2013年6月2日(日)
「慰安婦」問題 政治家発言に反論を
国連委が日本政府に勧告
国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会は5月31日、旧日本軍の「慰安婦」問題について、「公人による事実の否定、否定の繰り返しによって、再び被害者に心的外傷を与える意図に反論すること」を日本政府に求める勧告をまとめました。橋下徹大阪市長らによる最近の発言をふまえたものです。
勧告は、日本政府が、「慰安婦」問題に対処するうえで、拷問等禁止条約の義務を果たしていないと懸念を示しました。
問題点としては、「被害者への適切な救済・名誉回復をしていない」「拷問行為の加害者を訴追し裁判にかけていない」「国政および地方の高官や国会議員を含む政治家が本件事実を公に否定し、被害者に新たな心的外傷を与え続けている」と指摘しています。その上で、日本政府に対して、「即時かつ効果的な立法的・行政的措置をとるよう」求めています。
拷問禁止委員会は、非人道的な取り扱いを禁止する条約を守っているかどうかを審査・勧告する国際人権機関。日本政府は「慰安婦」問題を拷問禁止条約が発効した1987年以前に起きた事象であり、対象外と主張してきました。
しかし、今回の勧告では、日本政府に「『慰安婦』問題の被害者中心の解決を見いだす」ことを求め、「性奴隷制の罪に対する法的責任を公的に認め、加害者を訴追して、適切な刑罰に科する」よう求めました。