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2013年5月15日(水)

きょうの潮流

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 金学順(キム・ハクスン)さんが日本の軍人に無理やり連れ去られたのは17歳のときでした。姉とともにトラックに乗せられ、空き家で服を引き裂かれ、犯されました。殴られ、蹴られ、殺すぞと脅されながら。それから毎日、軍人の相手をさせられました▼金さんが勇気をふるい、日本軍の「慰安婦」だったことを証言して以来、同じ被害にあった女性たちが次々に声をあげます。だまされ、暴力によって拉致され、地獄の日々を強いられる。ほとんどが未成年でした▼日本軍が組織的につくった慰安婦制度。その狂気を維新の会の橋下徹代表が「必要だった」と肯定しました。もともと他人の痛みや人権感覚に乏しい人物だと思っていましたが、ここまでとは▼耳をふさぎたくなる発言はその後もつづきます。沖縄の米軍司令官に会ったときに「もっと風俗業を活用してほしい」と進言したことも明らかに。ツイッターでも「男に性的な欲求を解消する策が必要なことは厳然たる事実」と女性をおとしめる持論を展開しています▼「ほんとうに人間の血が流れているのか」(市田共産党書記局長)。人間の尊厳をうばわれた彼女たちに少しでも寄り添えば、口が裂けてもいえない言葉を平然と口にするのですから▼慰安婦問題では安倍首相や閣僚からも歴史に反した言動が相次いでいます。程度のちがいはあっても、戦争責任への無反省さが土壌にあります。「私を17歳に戻して」。いまは亡き金さんらの心の叫びを聞けない国になっては、世界から孤立するだけです。


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