2013年3月29日(金)
研究開発減税
適用額の3割以上 上位10社で占める
企業が支出した研究開発費の一部分を法人税から控除する研究開発減税のうち、「総額型」の3割以上が上位10社に適用がかたよっていることが政府資料から分かりました。
研究開発減税には、企業が試験研究を行った場合、法人税の20%を上限に試験研究費の8〜10%を控除する「総額型」に加え、2013年度末までの特例として、「増加型」「高水準型」などの上乗せ措置があります。
11年度の研究開発減税の適用総額2651億円のうち、8割以上となる2176億円が「総額型」です。このうち712億円(32・7%)が上位10社の適用でした。
資料は、2010年3月に成立した「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」(租特透明化法)による調査結果です。財務省が3月に国会に提出しました。資料によると、「総額型」適用額の1位は139億856万円、2位は117億8458万円、3位は101億3750万円でした。なお、政府は「企業の取引や経営環境に影響を与える可能性もある」という口実で、適用上位の企業名を公表していません。
租特透明化法を作成する過程で議論した民主党時代の政府税調には、名前を公表しないよう企業から要求があったと報告されています。税金をまけてもらっておきながら、企業名公表は拒否するのはあまりに身勝手です。
研究開発減税は、製薬会社含む化学工業が36・2%、自動車を含む輸送用機械器具製造業が8・1%など、適用される業種もかたよっています。さらに、適用額の8割以上が資本金10億円以上の大企業です。
政府は、研究開発減税の控除上限を現行の20%から30%へ引き上げる税制「改正」を今国会に提出しています。
研究開発減税の上乗せ措置 (1)直近3事業年度の平均を上回り、かつ直近2事業年度よりも当年の試験研究費が多かった場合、増加額の5%(増加型)(2)売上高の10%を超える試験研究費の額の一部(高水準型)―のどちらかを「総額型」の上限20%に上乗せするというもの。この上乗せ措置を使えば、現状でも法人税額の30%まで税額控除を受けることができます。
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