2013年2月6日(水)
スペイン与党 汚職疑惑
首相辞任求めデモ
ラホイ政権最大の危機に
「恥知らず」「(首相は)辞任を」。スペインでは4日、首都マドリードなど各地で抗議のプラカードを掲げた市民が与党の汚職を批判するデモを行いました。スペインの建設業界と与党国民党(PP)元幹部らのからむ汚職疑惑で、現金を受け取った政治家のリストに首相をはじめ政府・与党幹部の名前が含まれていることが暴露され、ラホイ政権は一昨年12月の発足以来の「最悪の危機」(英BBC放送)に直面しています。 (菅原啓)
建設業界から現金
現地からの報道によると、同国の警察は、国民党のバルセナス元財政部長と建設業界の癒着問題で押収した書類の中から、同氏が2003〜04年にかけて数回にわたり合計60万ユーロ(約7440万円)を受け取っていた証拠をつかみました。
有力紙パイス3日付は、バルセナス氏が手書きで記した裏帳簿も掲載。これには献金企業と受け取った国民党政治家の名前が明記されています。
建設業界は「イスパニカ建設財団」を通じて、多額の献金を国民党に送り、国民党はその影響力を行使して中央・地方政府の公共事業の発注で便宜を図ったとみられています。
スペインでは、企業献金は年間1社6万ユーロと制限され、さらに、政府関係の事業に参加する企業の献金はいっさい禁じられています。
政治家の汚職疑惑は珍しくないスペインですが、今回のように大量の政治家とくに首相まで具体的な疑惑がかかるのはきわめて異例のことです。
3日には、最大野党社会労働党(PSOE)が、特別聴聞会の開催とラホイ首相の辞任を正式に要求する声明を発表しました。
ラホイ首相は4日、首脳会談のためドイツの首都ベルリンを訪問しました。メルケル独首相からは緊縮政策を進めていることを「称賛」されましたが、直後の記者会見では、汚職疑惑での質問が集中。ラホイ首相は、不正な報酬は受け取っていないと疑惑を全面否定し、収入と資産を公開すると説明しました。3日発表の世論調査によると、与党国民党の支持率は前月から6ポイント低下し、過去最低の23・9%に落ち込みました。地元メディアはいま選挙をやれば、同党は50議席減らし、過半数割れになると報じました。