2013年2月1日(金)
大気汚染 中国東部深刻
9割の人が「生活に影響」
自然エネへ転換求める声
今年1月から北京、天津など中国東部の広い地域が深刻な大気汚染に見舞われています。ぜんそくや気管支炎などをもたらす人体に有害なPM2・5(直径2・5マイクロメートル以下の微小粒子物質)が、国際環境基準である1立方メートル当たり25マイクログラムの約20倍まで増加。北京市政府が外出を控えるよう呼び掛けるなど市民生活にも影響が出ています。大気汚染を防ぐために自然エネルギーのいっそうの活用を求める声も出ています。(北京=小林拓也 写真も)
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中国共産主義青年団の機関紙・中国青年報22日付が掲載した世論調査結果では、91・4%が「大気汚染が生活に影響している」と回答。具体的には「せきや喉の痛みなどの症状」(50・4%)、「なるべく外出しない」(38・9%)、「外出時にマスクを着ける」(38・9%)などでした。
また7割近くが大気汚染を軽減するために「自動車の運転を減らす」「なるべく公共交通機関を利用する」などと回答。85・4%が、原因を調べ積極的な措置をとることや汚染の情報公開など、政府に緊急対策をとることを求めました。
深刻な大気汚染を受け、メディアからは経済構造の転換を求める声も上がっています。
新京報(16日付)は「経済構造の転換はこれ以上遅らせることはできない」と題する論評を掲載しました。論評は、世界の石炭消費量のうち中国が40%を占めていることなどを挙げ、「過去十数年で中国の経済規模は4倍以上になったが、これは環境汚染がひどい時期でもあった」と指摘。「高汚染・高いエネルギー消費・高排出に頼った過去30年の経済成長モデルをこれ以上続けるのは難しい」「現在の大気汚染は中国経済が転換のときにあると警告している」と強調しました。
中国共産党の機関紙・人民日報のインターネットサイト「人民網」も17日、論評を掲載し、「現在の環境汚染の現状を変えるために、経済発展方式の徹底的な転換が必要だ」と主張しました。
また、石炭や石油などの化石エネルギーの使用を減らし、「風力、太陽光、水力など再生可能エネルギーを発展させることが、わが国のエネルギー供給問題を解決し、汚染排出を減らすために必要だ」と強調。「新エネルギー技術の成熟に伴い、短期間に石炭主体のエネルギー構造を変えることはすでに可能だ」と訴えています。