2013年1月15日(火)
国連環境計画
途上国に水銀汚染
小規模金鉱や石炭燃焼で
国連環境計画(UNEP、本部=ナイロビ)は10日、世界の発展途上国で水銀汚染が広がっており、健康、環境への影響が深刻となっているとする新たな報告書を公表しました。報告は、アフリカ、アジア、南米で水銀の環境への放出が増加しているとして、その主因として、精錬に水銀を使用する小規模金鉱、石炭を使用する途上国での火力発電を挙げています。
新報告「世界の水銀評価報告2013」によると、小規模金鉱からの水銀排出は2005年以来倍加しています。これには金価格の上昇が影響しており、今後もさらに排出増加の原因となりそうです。アジアは急速な工業化により最大の水銀放出地域となり、世界の放出量の半分弱を占めています。
報告によると、過去100年間に人間の活動による水銀放出で、世界の海洋表層100メートルの水銀量は倍加、深層水の水銀濃度も25%増加しました。
報告は、途上国で行われている小規模金鉱山からの放出は、世界の水銀放出の37%を占めていることを指摘しました。残りの水銀放出は消費廃棄物、セメント生産、石油精製などによるもの。
報告書は13日から18日までジュネーブで開催される新水銀条約締約のための会議を前に公表されたものです。