2012年11月29日(木)
主張
集団的自衛権
自民党「行使」公約の危険
総選挙の公示を目前に各政党の公約が出そろってきていますが、自民党が公約で「集団的自衛権の行使を可能」にすると明記し、自衛隊を「国防軍」に変える憲法改定など、タカ派色をむき出してきたことが警戒を広げています。
集団的自衛権の「行使」とは、軍事同盟を結ぶアメリカが戦争をはじめたら、日本が武力攻撃されていなくても、自衛隊が米軍とともにたたかうということです。侵略戦争の反省のうえに戦争放棄を国の基本とした憲法を根底からくつがえす危険な企てです。総選挙での厳しい審判が重要です。
憲法へのクーデター
自民党政権であれ民主党政権であれ、これまで政府は集団的自衛権の行使は「自衛の枠を超えるからできない」「行使はありえない」(1983年4月1日角田礼次郎内閣法制局長官)と説明してきました。それを総選挙政策で公然と「行使を可能」にすると言い出した自民党の態度は、“憲法へのクーデター”ともいうべきものであり、とうてい許されません。
15年にわたるアジア・太平洋戦争で、日本国民とともにアジアの諸国民に侵略と植民地支配で甚大な被害をあたえた日本は、その反省に立って憲法9条で戦争を放棄し、軍隊を持たないことを決めています。「自衛」のためなら自衛隊の存在やその活動は許されるという政府見解はそれを踏みにじるものですが、その政府でさえ、日本が攻撃もされていないのに戦争に参加する集団的自衛権の行使は許されないとしてきたのです。集団的自衛権の行使を可能にする自民党などの主張は、日本を戦争に巻き込む危険この上ないものです。
自民党などが国連憲章51条をもちだして、日本は個別的自衛権だけでなく集団的自衛権をもっており、行使は当然だというのは重大な誤りです。国連憲章51条は、国連の認めない戦争は許されないという国連の精神に反して、「自衛」の名による戦争を強行するため、アメリカなどがねじこんだものです。実際、アメリカのベトナム侵略や旧ソ連のチェコスロバキア侵攻などの正当化に使われてきました。国際的にも議論がある憲章51条を持ち出して、戦争を禁止した日本の憲法を否定しようという策動は、絶対に許されません。
自民党が公約するように、現在の憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を認めるだけでなく、憲法そのものを「改正」して自衛隊を「国防軍」に変えるとなれば、いよいよ日本の軍隊が無制限に海外での戦争に参加することになります。それこそ日本が再び他国民を殺し、殺される国になることであり、国際社会を裏切る道です。
憲法9条守りぬく党を
集団的自衛権については、野田佳彦首相も「見直す議論をつめていきたい」とのべ、日本維新の会の橋下徹代表代行も「基本的に行使を認める」と発言しています。自民党の選挙公約はこうした動きと連動の危険も無視できません。
自民党や民主党が集団的自衛権の行使に固執する背景にはアメリカの対日要求があります。日米両政府が5月に合意した日米の「動的防衛協力」も、集団的自衛権の行使につながるものです。
憲法9条を乱暴に破壊する集団的自衛権の行使に反対し、憲法を守りぬく日本共産党が総選挙で前進することがいよいよ重要です。