2012年11月26日(月)
“交戦規定を整備”
安倍総裁発言
自民党の安倍晋三総裁は25日のテレビ朝日の番組で、同党が衆院選公約に盛り込んだ憲法への「国防軍」明記に関し、「(自衛隊を)軍として認め、そのための組織もつくる。海外と交戦するときは、交戦規定にのっとって行動する。シビリアンコントロール(文民統制)も明示する」と表明しました。有事における部隊の行動要領などを定めた交戦規定について公約では触れていませんが、安倍氏は国防軍保持の重要性を強調する中で、法的整備に踏み込みました。
憲法9条は、1項で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する」と規定。2項は「前項の目的を達するため、陸海軍その他の戦力は保持しない。国の交戦権は認めない」。
安倍氏は番組で「9条の1項と2項を読めば軍を持てないとなってくる。しかし、こんな詭弁(きべん)を弄(ろう)することはやめるべきだ」と指摘しました。その上で「捕虜は、軍であればきちんと待遇される。そうでなければただの殺人者だ。軍隊として取り扱ってもらわなければならない」と述べ、自衛隊を憲法上、国防軍として位置付ける必要性を強調しました。
しかし、自衛隊の存在は憲法に反しないとして、海外派兵までやらせるようにしてきたことにこそ、自民党の憲法論の持つ詭弁があります。戦力保持を禁じた憲法と、自衛隊の膨張、米国の求めに応じた海外派兵容認との矛盾の拡大を逆手に取り、「憲法に位置づける」と本格的な軍隊創設に踏み込もうというのは、二重の詭弁です。
安倍氏が交戦規定の法的整備に踏み込んだのは、まさに「戦争する国」へと突進する意欲の現れであり、重大です。交戦規定=法に基づくことを根拠に、兵士が殺人罪に問われることを心配しないで武器使用できるようにする保障をつくる、危険な狙いです。