2012年11月22日(木)
復興予算流用に怒り、住民の願いここに
被災3団体政府に迫る
“命守る支援つづけて” “支援金の拡充不可欠” “原発廃炉の方針示せ”
岩手、宮城、福島の東北3県で大震災の救援・復興に取り組む3団体が21日、「復興予算の流用をやめて被災地の切実な願いの実現に」と求める政府交渉を行いました。各団体の代表らが国会内で復興庁や財務省など12省庁の担当者に被災者の苦境を伝え、支援を訴えました。
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交渉したのは東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター、東日本大震災津波救援・復興岩手県民会議、東日本大震災・原発事故被害の救援・復興をめざす福島県共同センターの3団体です。
復興予算の流用に対し、「被災者を傷つけるとともに大きな怒りを呼び起こしている」「内部留保を潤沢に抱え、リストラをすすめている巨大企業への補助金が復興予算から支出されることは怒りにたえない」と抗議しました。
交渉には、仙台市で希望に反して内陸への移転を迫られている男性と、災害危険区域の指定から外れて国の移転支援を受けられない同市の男性がそれぞれ参加。「住民の意思に反する線引きをするな」「おやじが死んだ土地で生き続けることはできない。移転を助けて」と口々に訴えました。
岩手県民会議の前川慧一代表世話人は、「多くの方が住宅再建の見通しを持てずにいる。収入が減った人は、生活再建支援金のうち、すでに配られた100万円を使い果たしている」と、支援金の拡充を訴えました。
3団体は、医療費の窓口負担や介護保険利用料の負担減免を維持するために、自治体負担をなくして全額国負担に戻せと要望。被災者からの相談事例として、協会健保で10月から窓口の一部負担が再開し、薬を間引いて飲んでいるなどの実態が紹介されました。
仮設住宅で暮らす前川代表世話人は、「仮設の壁に向かって、行方不明の夫を呼び、『いるなら返事して』と泣く人もいる。孤独死や絶望死が増えようというときに、なぜ支援を打ち切るのか。冷たい政府の対応では命を守れない」と指摘しました。
「被災地復興の障害だ」と消費税増税の中止を求めたのに対し、財務省の担当者は「懸念は分かる」と影響を認めた一方、増税は必要とする政府の立場を繰り返しました。
東京電力からの賠償金の一部が課税されている問題について、みやぎ県民センターの横田有史世話人(日本共産党県議)は「石巻市鮎川浜のサケ養殖の被害に対する賠償は東電と1年半交渉して7割だ。課税なんてとんでもない」と語りました。
「福島県内の全原発廃炉の方針を示せ」と参加者が迫ると、経済産業省の担当者は「2030年代の原発ゼロを目指す方針と同時に、安全性が確認できた原発は重要電源として活用する」といい、さらに「政府の方針から、福島第2原発を再稼働する可能性は否定できない」と発言。
福島県共同センターの斎藤富春代表委員は、「地元の意見はどう反映されるのか。私たちは望んでいない」と抗議しました。
3団体を支援する、「災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会」も交渉に参加。住江憲勇代表世話人は、「被災者の実態を見ず、支援を打ち切るやり方は許されない。今後も取り組む」と話しました。
交渉には日本共産党の大門実紀史、紙智子両参院議員が同席しました。