2012年11月13日(火)
小沢被告に高裁無罪
陸山会事件 「秘書に任せた可能性」
資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(収支報告書の虚偽記載)罪に問われた元民主党代表で「国民の生活が第一」代表の小沢一郎被告(70)の控訴審判決が12日、東京高裁でありました。小川正持裁判長は一審東京地裁の無罪判決を支持し、検察官役の指定弁護士の控訴を棄却しました。
控訴審では小沢被告が、土地購入代金を2004年分の収支報告書に計上せずに先送りし、提供した4億円を簿外で処理することについて、違法性を認識していたかが主な争点となっていました。
小川裁判長は「小沢被告が(簿外処理の)枠組みに関心が薄く、漠然と認識していたにとどまる可能性がある」と指摘。「4億円の簿外処理を適法に実現するとして了承した可能性もあるとした一審判決が不合理とはいえない」としました。
指定弁護士は控訴審で、04年に土地代金の融資を受けた際に、小沢被告が関係書類に署名した事実を指摘、違法性を認識していた根拠に挙げていました。小川裁判長は「売買契約の経緯は、事務的なこととして(小沢代表は)秘書に任せていた可能性がある」として、退けました。
また一審判決で認定していた石川知裕衆院議員(39)ら元秘書の虚偽記載の一部を認めませんでした。
控訴審では被告人質問もなく1回で結審。指定弁護士が申請した新証拠を採用せず、具体的な審理は行われませんでした。
一審の被告人質問で小沢被告は、収支報告書の作成を秘書任せだったとのべ、「(記載内容を)見たこともない」と説明していました。
小沢氏に監督責任「潔白」と言えるか
指定弁護士
東京高裁での控訴棄却を受けて12日、検察役の指定弁護士3人は司法記者クラブ内で会見し、「主張が受け入れられず残念」と口々に無念をにじませました。
判決の感想を問われた村本道夫弁護士は「内容的には承服しがたいところが多々あった。本件で行われた不可思議な処理について、控訴審は向き合っていないのではないか」と語りました。
2010年に東京第5検察審査会による2度の「起訴相当」議決で小沢一郎被告が強制起訴された、この事件。
大室俊三弁護士は「(小沢被告は陸山会の)会計責任者を指導監督する立場にあるわけだから、今日の判決も認定した内容虚偽の収支報告書を『私は知らなかった』で、(小沢被告が)自分の潔白を訴えていいとは思わない」と指摘。検察審査会の議決について、「きわめて常識的で妥当な判断だと思う」と語りました。