2012年11月9日(金)
主張
公債特例法案審議入り
赤字国債依存の異常を正せ
赤字国債を発行する公債特例法案の審議が衆議院で始まりました。公債特例法案は、歳入の約4割を赤字国債で賄う、今年度予算に関わる歳入法案です。その成立を大幅に遅らせたうえ、今国会でも国政の基本問題を審議する予算委員会の日程や、民主党が自民、公明と“談合”している解散日程にからめて、駆け引きの道具に使っていることは重大です。重要法案の審議を党略でもてあそぶことは許されません。公債特例法案は徹底した審議が必要です。
無責任な財政押し付け
公債特例法案は、すでに成立している今年度予算と一体のものであり、日本共産党は反対です。
今年度予算は、国民には年金・医療などの改悪を押し付け、大企業・富裕層への減税と無駄な大型公共事業をばらまく予算です。年金支給額や子ども手当の削減など社会保障を切り捨て、2015年度までに約20兆円もの負担増が国民にのしかかります。一方で大資産家や大企業には、年間1・7兆円の新たな減税を実施するなど大盤振る舞いです。八ツ場(やんば)ダムや東京外環道路など大型公共事業を復活させ、重大な欠陥が指摘される次期戦闘機F35の購入など無駄遣いを進めるものです。
国民の暮らしに深刻な打撃を与えるこんな予算を、もともと財政法で発行が禁止されている赤字国債を巨額に発行して賄うこと自体、問題です。今年度予算の一般会計約90兆円のうち42%にあたる約38兆円を赤字国債で賄います。財政法は公共事業費などを除く経費にあてる赤字国債の発行は本来認めていません。政府は毎年特例法を制定して赤字公債を発行してきました。歳入の半分近くを財政法の趣旨に反した赤字国債に依存する財政運営は異常です。
政府は公債特例法案の審議を遅らせてきた責任は棚に上げ、この法案が通らなければ、「国民生活に支障が生じる」と脅します。財務省は地方交付税などの支払いをストップしています。法案が成立していないもとで国民の暮らしや地方財政に影響が出ないように必要な手だてを講じる責任は政府・与党にあります。その責任を脇において犠牲を国民に転嫁するのは道理がありません。
財政悪化の原因は、無駄な大型公共事業費や軍事費を膨張させ、大資産家・大企業向けの減税などで財政に穴をあけてきたことにあります。歴代の自民・公明政権の責任も免れません。民主党政権も軍事費や大企業・大資産家への減税、政党助成金などお手盛りの予算などに切り込もうという姿勢はありません。公債特例法案の審議では、こうした問題点を徹底してただすことが不可欠です。
歳出、歳入にメスを
軍事費や大企業本位の無駄も削らず、大企業・大資産家優遇の不公平税制も正さずに、もっぱら消費税増税で財政破綻のつけを国民に押し付けるのは論外です。
今こそ、赤字国債依存の異常な財政運営を正す時です。消費税大増税を中止し、社会保障の財源は、所得税の累進性の強化や大企業優遇税制の是正、大型開発や軍事費など無駄遣いの一掃で確保すべきです。アメリカいいなり、財界・大企業中心の異常な政治にメスを入れ、国民本位の経済運営に切り替えれば、国民の暮らしも経済も財政も立て直していけます。