2012年10月19日(金)
保全隊に携帯 これで復興?
デジカメ・車両無線も
森本防衛相 “守るのは自衛隊員”
被災地でやることは救助ではなく、自衛隊員の「保全活動」―。違法に国民を監視・記録する自衛隊情報保全隊の器材購入に復興予算をあてようとしている問題で18日、日本共産党の井上哲士議員が参院決算委員会で追及しました。森本敏防衛相の答弁からは、震災復興と情報保全隊との無関係ぶりがますます明らかになりました。
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井上参院議員が追及
井上議員が指摘したのは、復興予算の来年度概算要求で計8035万円余りも自衛隊情報保全隊のために計上している点です(本紙14日付既報)。
森本防衛相は復興予算で、同隊のためにデジタルカメラや携帯電話、車両無線機の購入費用を計上していることを認めました。これを購入することが「自衛隊の災害対処能力の向上」につながるというのです。
情報保全隊は、「防衛秘密の保護と漏えい防止」を表向きの任務としながら、「保全活動」の大半は自衛隊海外派遣などに反対する市民やジャーナリストら国民の監視。災害救助とは縁遠い部隊です。
井上議員は「情報保全隊は救助活動などしない。なぜ、これが災害対策の向上になるのか」とただしました。
森本防衛相は、情報保全隊が東日本大震災の被災地に出動したことを認め、その目的について「(被災地で活動した)10万人を超える自衛隊員を諸活動、障害から守るため」と答弁。「(被災地の)複雑な状況で、多数の方々に接する」自衛隊員を守ることが必要とものべました。
この弁解は今年3月に仙台地裁が「人格権を侵害した違法な情報収集」と情報保全隊の国民監視を断罪した裁判での、国側の説明と変わりません。
「隊員への悪影響が生じる」などといって、イラクへの自衛隊派遣に反対する市民や地方議員、ジャーナリストが監視の被害にあっていたのです。
井上議員は「保全隊の活動は被災者を守るためでなく、被災地に来た自衛隊を守るためだった。しかも、実際にやっているのは国民監視活動だ。こうした情報保全隊をなくすべきだし、ましてや復興予算に盛り込むことは許されない」と批判しました。