2012年10月11日(木)
被災庁舎 手つかずなのに…
中央官庁には14億円
復興予算 順序が逆
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東日本大震災の被災地の復興・復旧とは関係のない使われ方をしている復興予算。震災で大きな被害を受け、本庁舎の建て替えが必要な自治体が13市町もあり、いまだに着工にいたっていないにもかかわらず、復興予算で中央官庁とその出先機関の耐震改修などが行われていることがわかりました。「順序が逆ではないか」の指摘があります。
これは、国土交通省が「全国防災」などの名目で、すすめているもの。政府の「復興の基本方針」(昨年7月決定)で、「震災を教訓として、緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災のための施策」には予算が認められるため、可能になっています。
国交省の資料によると、2012年度予算で官庁営繕費として19カ所、計35億5200万円が計上されています。
このうち、津波浸水被害にあった宮城県石巻市の石巻港湾合同庁舎は、復旧・建て替え(4億5000万円)など必要性が高いものもあります。しかし、そのほかは、ほとんどが被災地から離れたところで「耐震改修」「津波対策」と、“復興”に「便乗」したものです。
なかでも、東京・霞が関の内閣府、内閣法制局、国税庁などが入る中央合同庁舎第4号館は、14億1100万円をかけて耐震改修工事がすすんでいます。
北は北海道・釧路市から南は沖縄・那覇市まで「港湾合同庁舎」の津波対策が目立ちます。
国交省の担当者は、「災害時、(これらは)一時的な避難場所になる」などとしていますが、真に必要なものは復興特別会計予算ではなく、一般会計予算で計上すべきものです。政府は、「東日本大震災を教訓に」と合理化しますが、阪神・淡路大震災後、十数年後も耐震化を放置してきたことも問われています。
流用認められない
日本共産党東日本大震災現地対策本部長の高橋ちづ子衆院議員の話 「復興公営住宅に入れるの?」「移転事業の区域からはずれ、支援がない」など、被災地では住まいの再建への道筋が見えません。「全国防災」を潜り込ませた第3次補正は昨年末。政府が、復興の各メニューを決めたのもこのときです。市町村の復興計画が遅れ、再建をあきらめた業者や、多額の借金を抱えて自力再建をした被災者も多いのです。被災者の実態からすれば、どんな理由であれ、復興予算の流用は認められません。