2012年10月5日(金)
主張
待機児童2.5万人
保育所増設急ぎ未来に希望を
認可保育所に申し込んでも満員で入れない待機児童が今年4月1日時点で2万4825人にのぼることが厚生労働省の調査で分かりました。4年連続で約2万5千人という高水準です。
父母や保育関係者の運動の力で認可保育所の新増設は地域によって一定前進しましたが、増加規模が要求に見合っていないことは明らかです。いつでもどこでも安心して利用できる保育所を抜本的に増やすことが急がれます。
深刻化する構造問題
「保育所が見つからない。就職が決まりかけているのに…」「育児休業をめいっぱい延長しても保育所に入れずに困り果てている」―。血眼になって保育所探しに駆け回る親が悲鳴をあげています。
厚労省調査では、待機児童数は2年連続「減少」としていますが、親にはそんな実感はとても持てません。現実を“小さく見せる”集計を厚労省が行っているためです。認可外の保育施設に入りながら認可園入所を待っている児童数は集計から除外されています。入所を希望していても、あきらめて申し込みもしていない親の子どもたちも含まれていません。
「潜在待機児童」は全国で数十万人といわれます。近年の経済状況の悪化で、共働きで働くために子どもを保育園に入れたい親が増加したという“一時的”なことにとどまりません。深刻な構造問題であることは明白です。
政府が「待機児ゼロ作戦」を閣議決定したのは2001年の小泉純一郎内閣の自公政権時代です。「構造改革」路線にもとづく「ゼロ作戦」は「民間活力導入」「最小コスト」のもと、必要な保育所をつくらずに、詰め込み保育の拡大、一部の営利目的の業者による劣悪な保育に子どもたちを追い込む事態まで生み出しました。「待機児ゼロ」どころか、保育をめぐる今日の危機的事態をもたらしたのが、この10年余の現実だったのです。
民主党の野田佳彦内閣は、自民・公明両党と「談合修正」を経て「子ども・子育て新システム」関連法を成立させ、保育の公的責任の後退と民間参入の拡大をすすめようとしています。あまりに無反省です。
いま必要なのは、「構造改革」「規制緩和」路線からの転換です。野田政権が当初狙った「市町村の保育実施義務の撤廃」を許さなかった世論と運動をさらに強め、保育制度改悪を具体化させないことがいよいよ重要となっています。
認可保育所の大幅な新増設は日本経済にも大きく貢献します。地域密着の公共事業は中小業者に仕事が回ります。保育士など職員の安定的な雇用につながります。
「好循環」へ転換を
日本共産党は、1年間で10万人、3年間で30万人分の認可保育所を国の責任で緊急に整備することを提案しています。年間6000億円の財源で実現が可能です。1機100億円を超す自衛隊のF35戦闘機を40機以上も購入する計画をやめるなど軍事費や大型公共事業のムダづかいをやめて、子育てや社会保障を拡充させる政策転換が緊急に求められます。
安心して子どもを預ける場所が確保できることで親、とくに女性にとって働く条件が大きく広がります。子どもを産み育てることに希望がもてる「好循環」にむけた政治の改革が未来を開く道です。