2012年9月19日(水)
反日デモ 120都市以上
大使館に金属球 日系企業の休業続出
中国
【北京=小林拓也】日本の中国への本格的侵略戦争の発端である柳条湖事件から81年となった18日、中国各地で日本政府の尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化に反発する反日デモが、北京、広州(広東省)、上海、瀋陽(遼寧省)、蘇州(江蘇省)など125以上の都市で行われました。
北京の日本大使館前は数千人の警官が動員される厳戒態勢の中、数千人がデモ行進しました。ペットボトルなどを日本大使館に投げ込む人もいました。
暴徒化したデモ隊の襲撃を恐れ、トヨタ自動車、ヤマハ発動機、イオンなど日系企業は一部工場を停止したり、店舗を臨時休業させました。日本大使館によると、同館に打ち込まれた金属球などで窓ガラス6枚が破損していることが18日朝に判明。中国外交部と警備当局に対し、再発防止と警備強化を申し入れました。
日本大使館前のデモでは、毛沢東元主席の肖像画を掲げてデモ行進する若者グループが多くいました。「毛主席を人民は懐かしく思う」「毛沢東思想こそが中国を救う」などのプラカードも目立ちました。
今回の反日デモ拡大の背景について、中国のミニブログ「微博」上では、「各地の反日(感情)の爆発は、単なる反日ではなく、物価が高い、貧富の格差が大きいなどの不満の発散だ」「社会の下層の人たちが愛国の民意を借りて、社会や政府への不満を吐き出している」などの意見も寄せられています。
北京の大学で国際関係を学ぶ大学院生の男性(26)は、自身は反日デモに参加するつもりはないと述べた上で、「デモは、就職できない、医療費が高いなど、中国の若者の社会に対する不安や不満の表れで、デモでそれを晴らしているのだと思う」と話しています。
柳条湖事件 1931年9月18日、中国東北地区(当時の満州)瀋陽(当時の奉天)市近郊の柳条湖付近で、日本が所有していた南満州鉄道の線路が日本軍(関東軍)の謀略で爆破された事件。日本軍は事件の責任を中国側に押しつけ、中国東北地区を占領(満州事変)。その後の中国全土侵略(日中戦争)のさきがけとなりました。