2012年9月14日(金)
基準1000倍のベンゼン
築地市場移転予定地 都が発表
東京都は13日、築地市場の移転予定地(江東区豊洲)の土壌から環境基準の1000倍のベンゼンを検出したと発表しました。ベンゼンが見つかった箇所は、都がこれまで「水を通さないので汚染がそれ以上深く広がらない」としてきた地層の内部で、専門家からは「都の汚染処理策の前提が崩れた」との批判があがっています。
発表によると、予定地の「不透水層」で行った292地点のうち68カ所で環境基準を超えるベンゼンを検出。このうち5カ所で基準の100倍を超え、シアン化合物も16カ所で環境基準を超えていました。
最高1000倍の濃度のベンゼンが検出されたのは、青果卸売場に予定している5街区で、不透水層の上端から1・3メートル下の地点です。都はこれまで汚染物質の分布調査を不透水層上端までにとどめ、市場関係者や日本環境学会、日本共産党などの全面的調査の要求を拒んできました。
不透水層内部から汚染物質が見つかった原因について、都中央卸売市場は「ガス工場操業時の汚染物質が入り込んだ可能性があるが、現在分析中。汚染物質は掘削し処理するので問題はない」としています。
都は現在、予定地で土壌汚染の処理工事を行っており、2014年度に新市場を開場する計画です。
汚染処理策前提崩れた
日本環境学会の坂巻幸雄・土壌汚染問題グループ長の話 都がこれまで「これより汚染は広がらない」といってきた不透水層で高濃度のベンゼンが見つかったことは、都の汚染処理策の前提が崩れたことを示すものです。都は説明会を開き、すべての情報を明らかにし、専門家と公開討論を行うべきだし、ずさんな調査にもとづく汚染処理策も再検討すべきです。