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2012年9月4日(火)

自衛隊 今も国民監視

違法な個人情報収集

情報保全隊の内部資料

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 陸海空自衛隊の情報保全隊を統合して2009年に新設された自衛隊情報保全隊のもとで、違法な国民監視活動とその記録化が続けられていることが3日、同隊の内部資料などで判明しました。陸上自衛隊の情報保全隊による国民監視は07年、日本共産党の志位和夫委員長が告発して明るみに出ましたが、その後も継続していたことが裏付けられました。監視された市民らが訴えた国民監視差し止め訴訟仙台地裁判決(今年3月26日)では「人格権を侵害した違法な情報収集」だとして国に賠償が命じられています。


平和運動参加者、イスラム教徒、自治体幹部…

写真

(写真)「週報」と題した自衛隊情報保全隊の内部文書

 本紙が入手したのは「注意 特に厳重な取り扱いを要する」と指定し、「週報」と表題がついた自衛隊情報保全隊の内部文書。作成部署を記したとみられる欄には「情報保全課」と記載されています。同課は、部隊発足時の大臣訓令によると情報保全隊本部に置かれた部署。「情報の収集整理及び配布」などが任務です。

 「週報」は、10年11月25日から12月21日までの期間のもの。同隊が収集した国民監視情報が、1週間ごとに詳細に記録されています。

 市民団体や日本共産党などの監視対象ごとに項目分けし、活動内容、参加者数、日付などを記述。文書形式は、07年に表面化した陸自文書とほぼ同様です。

 監視対象者は、平和運動に参加する市民、日本共産党や社会民主党の議員、労働組合員、自治体幹部、新聞記者など広範囲です。

 「地方自治体等の動向」の項目も設け、基地のある自治体の動きや自治体幹部の発言などを監視。さらに沖縄県知事選での候補者の発言もチェックしています。

 イスラム教徒にたいしては「イスラム勢力・国際テロ組織関連動向」という項目を設け、テロ勢力扱いをしています。

 日本共産党や民主団体は「日共系」とした項目に記録。1人での行動まで記述し、規模を問わず監視していることがうかがえます。

 記述には、新聞などで報道されていない内容も含まれています。たとえば、10年12月12日に宮崎県えびの市内で行われた霧島演習場日米共同訓練抗議集会での前屋敷恵美党県議の発言は、報道されていません。しかし「週報」には発言が詳述されており、同隊が集会に潜入して情報収集したことを裏付けています。

 さらに07年の内部文書で監視対象とされた市民らによる「自衛隊の国民監視訴訟を支援するみやぎの会」が、仙台市内で開いた集会も参加人数まで把握して記録しています。

 仙台地裁判決では、「氏名、職業に加え、所属政党など思想信条に直結する個人情報」の収集を違法と断じました。今回の「週報」でも共産党議員らの名前を特定して発言や行動を監視するなど、違法性は明白です。

 本紙は、「週報」に記載された内容の裏付け調査を行い、実際に実施されたものであることを確認しました。

 防衛省広報課は、本紙の取材に対して「(内部文書の存在は)仙台高裁で係争中なので答えられない」としました。


 自衛隊情報保全隊 防衛相直轄の情報部隊。表向きは、防衛秘密の保護と漏えい防止を目的としていますが、実際には国民監視が主任務。陸海空3自衛隊に分かれていた情報保全隊は2009年に「自衛隊情報保全隊」に統合・新編。10年には民主党政権のもとで増員され、定員は約1000人。国民監視差し止め訴訟の仙台地裁判決は、差し止め請求は却下しましたが、「違法な情報収集」だと認め原告のうち5人に賠償支払いを国に命令。原告・被告双方が仙台高裁に控訴しました。


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