2012年9月2日(日)
荒瀬ダム撤去始まる
球磨川の再生へ第一歩
国内初ケース 住民“ほっと”
熊本
日本三大急流の一つ熊本県・球磨(くま)川の河口から20キロにある県営荒瀬ダム(八代市)の撤去工事が1日、始まりました。本格的なダムの解体としては国内初で、2018年3月までに88億円かけて進めます。撤去運動を続けてきた地元住民らは清流再生へ向けた第一歩に喝采をあげました。
「死ぬ前に昔のようなきれいな川を見たかったから本当に良かった」。合併前の旧坂本村で村議を務めた男性(75)はダムの管理橋に焼酎をかけ労をねぎらいました。
水力発電専用の荒瀬ダムは1955年に完成以降、水質・河床環境が悪化。アユは激減し、住民は大水害や振動被害に悩まされてきました。02年に潮谷義子知事が撤去を決断しましたが、後任の蒲島郁夫知事は08年に一転し、存続を表明。粘り強い住民運動で撤回させました。
球磨川漁協元理事の男性(72)は「10キロ先に瀬戸石ダムがある。これを解いて初めて球磨川再生に道が開かれるという意味では、一歩前進か」と語りました。
前日夕には、撤去運動に携わった住民ら約40人が「さよなら!荒瀬ダム」と書いたボードを手に、生活道路の役割を果たした管理橋を往復。日本共産党の橋田芳昭衆院熊本5区予定候補、笹本サエ子市議も参加しました。