2012年8月29日(水)
公債特例法案に対する
佐々木議員の反対討論
衆院本会議
日本共産党の佐々木憲昭議員が28日の衆院本会議で行った、公債特例法案に対する反対討論は次の通りです。
2012年度における公債発行の特例に関する法律案に反対の討論を行います。
はじめに、与野党合意のないまま与党・民主党によって一方的に公債特例法案の採決日程が決められたことに、抗議するものです。
民主党は、このようなことをやって展望があるというのでしょうか。仮に法案を参議院に送っても、与党が過半数割れの参議院では否決か廃案しかないではありませんか。政府・民主党の議会運営は理解できません。
全野党がこぞって反対しているにもかかわらず、本日の本会議の議題として定数削減法案が上程されたことにも抗議するものです。
民主党は、衆議院選挙制度に関する各党協議を一方的に打ち切り、単独で法案を提出して委員会への付託を強行し、さらに単独で趣旨説明・質疑を行い、採決まで強行したのです。選挙制度は議会制民主主義の土台であり、与党・民主党だけで強行することは許されるものではなく、憲政史上、これほどの暴挙はありません。定数削減法案の採決をやめ、各党協議に戻すことを強く求めるものです。
自民党にもひと言いっておきたい。
自民党は、民自公3党の「密室談合」で消費税大増税法案を強行しました。その直後から態度を豹変(ひょうへん)させ、今度は増税談合の相手に「問責決議」を出すと言い出しました。どう考えても茶番としか言いようがありません。
問責を言うなら、なぜ、われわれ7党が提案した内閣不信任案に賛成しなかったのか。自民党の態度は支離滅裂で、納得できるものではありません。
特例公債法案に反対する理由を述べます。
第一の理由は、この法案が、今年度予算の財源を確保するためのものであり、わが党が反対する予算と一体のものだからです。
今年度予算は、消費税増税を前提とし、さらに年金の支給額の削減、子ども手当の削減など社会保障の連続改悪を進めるものです。国民の多くが、生活を切り詰め、将来不安を抱えている時、野田内閣は2015年までに約20兆円もの新たな負担を庶民に押し付けようとしているのです。暮らしも、経済も、財政も破壊する道に踏み出す予算に賛成できないのは当然です。
さらに、中止を公約した八ツ場ダムや東京外郭環状道路などのムダな大型開発を次々と復活させ、重大な欠陥が指摘され完成もしていないF35を次期戦闘機として買い入れるため総額1・6兆円も費やすなど、税金のムダづかいを進めるものとなっています。富裕層や大企業には年間1・7兆円もの新たな減税を施したうえ、さらなる法人税減税を目指す予算ともなっているのです。
このような予算を支えるために、多額の赤字国債を発行することは許されません。
社会保障の財源は、証券優遇税廃止などによる所得税の累進性を強めること、大企業を優遇する不公平税制を是正すること、大型開発や軍事費などの歳出のムダにメスを入れること、などによって確保すべきです。
旧態依然とした大企業中心の成長戦略や、TPP(環太平洋連携協定)参加という危険な道に踏み出すのではなく、家計消費を中心とした内需主導へとかじ取りを切り替えるべきです。そのためにも、大企業の内部にため込まれた260兆円もの内部留保を国民に還元させるべきです。
なお、民主、自民、公明の「3党合意」にもとづき公債特例法案の修正がおこなわれましたが、これは、本年度分の基礎年金国庫負担分を2分の1に引き上げるための財源を、「交付国債」から「つなぎ国債」に変えるというものです。そのような修正をしても、償還財源に消費税増税分を充てることに変わりなく、賛成できません。
最後に指摘しなければならないのは、民自公3党合意が、破たんし始めているということです。
社会保障制度改革推進法で定められた「国民会議」は、3党のあいだで一致しなかった課題を、今後、協議していく場として位置づけられ、設置期間は8月22日の法施行から1年以内と決められました。民主党はこの国会中に設置を求めていますが、自民党は解散・総選挙の後だとして、拒否しています。こうなると、消費税の大増税だけが先行するという最悪の事態になるのです。
もともと税制法案の原案にあった、ささやかな「富裕層への増税」も、3党合意で削除されました。これが、来年度税制改正で復活する見込みもありません。低所得者対策も、かけ声倒れで、具体的な方針がまったく見えません。これらの課題を棚上げして、無慈悲に消費税の大増税だけを国民に押し付けることは許されません。
いま、野田内閣がやるべきことは、国民の信を問うことです。ただちに解散・総選挙をおこなうよう求めて、反対討論とします。