2012年8月17日(金)
オスプレイ訓練 ハワイでは中止
環境への悪影響 米軍が考慮 2空港
日本国民の反対は無視か
米ハワイ州のカネオヘベイ海兵隊基地への垂直離着陸機MV22オスプレイの配備にあたって、同機がもたらす強烈な吹きおろしの風などによる環境への悪影響を考慮して、2カ所の空港で計画されていた飛行訓練を米軍が事実上取り下げていたことが16日までにわかりました。
計画が変更されたのは、いずれも州が管理するモロカイ島のカラウパパ空港とハワイ島のウポル空港。(図)
環境影響評価(アセスメント)最終報告書を受けて米軍が6日に公表した決定文書では「カラウパパ空港近辺にある考古学資源(遺跡)へのMV22の吹きおろしの影響を考慮して、訓練での使用を取り除くよう計画を変更した」と明記。吹きおろしのため、舗装されていない場所への着陸の際に、土(つち)埃(ぼこり)を巻き上げて地面を削る可能性があり、その影響は半径107メートルの範囲に及ぶなどとしています。同アセスの草案で米軍は年間684回の着陸訓練を計画していました。
ウポル空港でも、同様に228回の着陸訓練が計画されていたものの、近辺にハワイ王国の初代国王・カメハメハ1世の生誕地(同空港から2キロ)やハワイ最古級の神殿遺跡(1・4キロ)が立地。周辺住民から観光や農業への悪影響、騒音被害を懸念する声がアセス手続きを通じて寄せられていました。
これを受けたアセス最終報告書は「当初の草案で示した着陸訓練を実施するものではない」と計画を変更。緊急事態や予定着陸地点が天候不良の場合における代替空港としての利用に限るとして、オスプレイの運用がこれらの遺跡に影響を及ぼすものではないことを強調しています。
米国内のオスプレイ配備をめぐっては、ニューメキシコ州でも住民から安全性を懸念する意見が多く寄せられ、飛行訓練を取り下げています。
普天間基地(沖縄県宜野湾市)への配備に伴って米軍が公表した「環境レビュー」では、「機体近辺を超えた範囲でも強力な下降気流を発生させる」とする一方、同基地周辺の住宅地への影響についてはなんら触れていません。
沖縄県をはじめ、全国各地で安全性や環境への影響から配備や訓練の中止を求める声があがっており、日米両政府の対応が問われます。
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