2012年7月20日(金)
論戦ハイライト
消費税に頼らない道がある
参院特別委 大門議員の追及
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日本共産党の大門実紀史議員は19日の参院社会保障・税特別委員会で、「消費税増税に頼らない社会保障と財政の再建を」と求めました。
宮城・岩手・福島 毎年5600億円の増税
被災地支援 吹っ飛ぶ
大門氏は、東日本大震災の被災地で地元紙が「消費税増税は生活再建の足かせになる」「復興に逆効果」(河北新報、6月27日付)と指摘していることを紹介。原発事故で営んでいた酒店を失った自営業者(68)の「われわれは見捨てられた」という声にふれ、こう迫りました。
大門 消費税10%になると、宮城、岩手、福島の被災3県の増税額は毎年5600億円以上に達する。被災地への支援金が吹っ飛んでしまう規模の増税だ。「100年に1度の大災害の時に連続して大増税など打ち出すべきではない」というのが被災地の人々の声だ。
野田佳彦首相 被災地の声にはさまざまな声がある。「(増税は)総論としては賛成だけど、住宅再建に格別の配慮を」という声もたくさんあった。
大門 住宅だけではない。事業者の再建もあれば、暮らしの再建もある。もっと大きく被災地の現状をとらえ、消費税増税を考え直すべきだ。
逆進性、所得再分配に逆行
財源は応能負担が当然
「なぜ累進税率の見直しによる所得の再分配など税制全般の見直しを先に主張しないのか」―。
大門氏は、新聞の投書に載ったこのような声を紹介し、なぜ消費税なのかについて「そもそも論」から議論すべきだと主張。「所得再分配」は近代国家の重要な仕事であり、その手段である社会保障の財源は能力に応じて負担する「応能負担」で調達するのが当たり前だとして、こう追及しました。
大門 消費税は逆進性があり、応能負担の逆のことで、所得再分配に逆行している。
安住淳財務相 フランス人権宣言では、税はすべての市民の間で能力に応じて平等に分担されなければならないといっている。
安住氏は応能負担の原則を認め、「消費税も応能負担の一部」とごまかしながらも、「高額所得者に課税すべきという点はわが党もそういう考えがあるので年度改正で検討する」と述べました。
大門氏は各国の社会保障財源の内訳(図1)を示し、欧州は消費税率が高いから社会保障が充実しているという宣伝も「真っ赤なウソだ」と指摘してこう追及しました。
大門 欧州の消費税の割合は1割前後にすぎない。日本が消費税を10%に引き上げれば、応能負担を逸脱する世界でも異常な国になる。
首相 世代間の公平という観点からするとお互いに助け合う消費税が必要だ。
大門 高齢者も以前は現役世代だったのであり、ライフサイクルの問題だ。逆進性の高い消費税ではなく、(富が)偏在しているところからもらうべきだ。
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高くない大企業の法人税負担
財界より国民の声聞け
大門氏は、日本でも欧米でも一部の大企業に富が集中(図2)する一方、日本の大企業の法人税負担は高くないと強調しました。
日本の法定実効税率は40%(2011年度)ですが、連結納税制度、所得金額圧縮などで減税されています。実際の税負担率は、三井物産9・1%、京セラ18・2%しかありません(1面グラフ参照)。
大門 なぜ、こんなときに法人税率を下げる必要があるのか。
財務相 日本企業に競争力を持ってもらうために法人税を下げた。世界的な視野で考えた。
大門 世界の流れは逆だ。
大門氏は、フランスのオランド政権は、法人税、所得税最高税率の引き上げ、付加価値税の引き上げ凍結を打ち出し、アメリカのオバマ政権も法人税率は引き下げるが課税ベースを拡大して、富裕層減税の廃止を打ち出していることを指摘。「経団連の声ではなく、国民の声を聞いて財源の確保をはかるべきだ」と強調しました。
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