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2012年6月30日(土)

日米安保の本質あらわに

オスプレイ配備容認

米国は条約上の権利と主張

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 「米国と何回も交渉したが、押し返せなかった。米国は日米安保条約上の権利だと主張した」。藤村修官房長官は28日、国民新党の下地幹郎幹事長との会談でこう語り、垂直離着陸機MV22オスプレイの沖縄配備を計画どおり進めることを容認しました。

 森本敏防衛相も29日の記者会見で、オスプレイの飛行の是非について「日本政府に条約上のマンデート(権限)はない」と述べ、やはり「安保」の前に屈服しています。

 これらの発言から、安保条約は日本国民の意思とは無関係に、米軍がみずからの戦略に沿って、いかなる部隊・装備も自由に配備して、日本全土で自由に運用できる特権を与えたものであることが、あらためて浮き彫りになりました。安保条約があるからこそ、米国はオスプレイ配備に対する自治体や住民の反対や懸念を知りながら、配備に向けての「接受国通報」を出すことができるのです。

 1952年4月に発効した旧安保条約は第1条で「日本は国内へのアメリカ軍駐留の権利を与える」と明記。占領軍としての米軍の特権を露骨に示していました。

 これに対して、保守層からも「不平等条約だ」との声が高まり、60年に改定された現行安保条約では、米軍の部隊・装備の「重要な変更」の場合、「事前協議」を行うことになりました。しかし、事前協議は一度も行われていません。

 日本の軍事占領で得られた米軍の特権は、今日まで脈々と引き継がれていることが、今回のオスプレイ配備をめぐる動きで明らかになったといえます。

 同時に、「条約上の権利」を持ち出す以外に、オスプレイ配備の正当性を示せなくなったとも言えます。

 森本氏は会見で、「(オスプレイ配備は)海兵隊の能力向上に資する。わが国の安全保障だけでなく、地域全体にとって海兵隊の抑止力が高まる」と述べています。しかし、もはや「海兵隊=抑止力」論は使い古された論理で説得力を持たず、墜落事故に対する不安を打ち消すことにはなっていません。

 米海兵隊は2013米会計年度(12年10月)からの本格配備を狙っています。今後の動きは予断を許しませんが、仮に日米両政府がオスプレイ配備を強行すれば、沖縄だけでなく全国的に、「安保の是非」が問われることになるでしょう。

 (竹下岳)


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