2012年6月23日(土)
自衛隊派兵 米が迫る 90年の湾岸危機時
ブッシュ大統領、海部首相に
米公文書で判明
米ジョージ・ワシントン大学の国家安全保障アーカイブ(NSA)は20日、湾岸危機当時の1990年8月に米国が日本に自衛隊の多国籍軍参加を強く迫っていたことを示すブッシュ米大統領(当時)と海部俊樹首相(同)との電話会談の記録を公開しました。NSAが米解禁文書を入手し、明らかにしました。
イラクのフセイン政権は同年8月2日、クウェートに侵攻しました。公表された電話会談の記録によると、直後の13日にブッシュ氏が海部氏に電話をかけ、「多国籍海軍部隊への日本の直接貢献を検討してほしい」と要求。こうした日本の行動が「日本の戦後史にとって転換点になることはわかっている。しかし、成し遂げれば日本は西側同盟の完全な参加国となる」と部隊派遣を迫りました。
海部氏は「憲法上の制約」を理由に「(自衛隊の参加は)ほとんど考えられない」と回答。これに対しブッシュ氏は「憲法上問題があるとは知らなかった」と述べつつ、重ねて自衛隊の派遣を求めました。
結局、海部政権は電話会談直後の10月に始まった臨時国会に、多国籍軍に自衛隊を参加させる「国連平和協力法案」を提出。同法案は、国民の厳しい批判を浴び、翌11月に廃案となりました。
当時、両氏が電話会談したことは公表されていましたが、自衛隊派遣を迫っていたことは明らかにしていませんでした。