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2012年6月17日(日)

マスメディア時評

「決められる政治」賛美する愚

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 民主、自民、公明の3党が、消費税を2段階で増税し、年金、医療など社会保障はいっそう改悪する「一体改革」法案の「修正」協議で合意した翌16日朝、「朝日」「読売」「毎日」など全国紙は、「政治を進める転機に」(「朝日」)、「『決める政治』を評価する」(「毎日」)などと手放しで評価する社説を掲げました。野田佳彦政権に対しても、民主党や自民党などに対しても、消費税増税への「決断」を迫り、けしかけ続けたのはこれらの巨大メディアです。「修正」合意が実現したといって「決められる政治」を賛美するのは、まさに自作自演のきわみです。

決め方も、内容も問わず

 これらのメディアは、民主党政権になってから、「ねじれ」国会のもとでの政治を「決められない政治」と非難してきました。しかし、決め方や決める内容を問題にしないで、何でも決めさえすればいいというのはまったく不毛で無節操な議論です。

 消費税増税でいえば、当の全国紙を含むマスメディアの世論調査でも5、6割が反対し、しかも中身が知られるのにつれ反対が増える傾向です。それなのに増税を決めさえすればいいというのは、国民の意思を踏みにじる暴走をすすめることにしかなりません。

 消費税増税だけでなく、「朝日」は「修正」協議で民主党が「最低保障年金の創設」や「後期高齢者医療制度の廃止」の公約を棚上げしたことを「賢明な選択」とたたえます。「読売」や「毎日」も譲歩を評価してみせます。しかし、消費税増税は民主党が総選挙で「やらない」と約束し、後期高齢者医療制度の廃止は「やる」と約束した公約です。「やらない」と約束したことをやり、「やる」と約束したことをやらないのに、公約違反を問題にしないのでは民主主義は成り立ちません。公約を守って「消費増税も棚上げせよ」(「東京」)といった議論さえ全国紙にまったくみられないのは、巨大メディアの退廃現象そのものです。

 消費税増税と社会保障改悪の「一体改革」を、「多大な痛みを伴うが、避けられない改革だ」と言い切る「朝日」や、「どの党が政権を取っても取り組まざるを得ない」と突き放す「読売」など、巨大メディアには国民の目線がありません。

翼賛政治のすすめなのか

 「朝日」は、「なぜ『決められない政治』に陥ったのか」と問い、「それは、政治家が厳しい現実と向き合うことから逃げてきたことが大きい」といいます。「産経」は「指導者が決断しない政治から脱却しなければ閉塞(へいそく)感は増し、日本の危機は克服できない」と主張します。指導者が「決断」さえすれば政治がすすむというのは、翼賛政治か、独裁政治のすすめにしかなりません。それこそ国民不在の政治が数の力で推し進められるのを容認することになります。

 国民がいまの政治に閉塞感を強めているのは、自民党から民主党に政権が代わっても政治が変わらず、暮らしも経済もよくならないからです。根本には自民党も民主党も、アメリカと財界いいなりの「二つの異常」を抜け出せていないことがあります。政治の閉塞を問題にするなら、「翼賛」や「独裁」をすすめるのではなく、政治の二つの異常を根本から問い直し、打開する展望を示すことこそジャーナリズムの役割です。

 消費税増税に頼らない、社会保障拡充と財政危機打開の道を日本共産党が提言しているのに、そうした議論さえまともに取り上げてこなかった全国紙は、ジャーナリズムとしての最低限の役割を喪失しているといわれても仕方ないでしょう。(宮坂一男)


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