2012年6月16日(土)
主張
民自公「修正」合意
増税のためになりふり構わず
野田佳彦首相が「政治生命をかける」と成立に執念を燃やしてきた消費税増税と社会保障の「一体改革」関連法案について、民主、自民、公明の3党が「修正」で合意しました。消費税を2014年に8%、15年に10%に引き上げることを明記したうえで、社会保障については軒並み改悪の政府案よりも一段と改悪を加速しました。消費税増税反対・社会保障充実を願う国民世論を踏みにじる暴挙です。「密室談合」の結論を国会と国民におしつけることは許されません。廃案を求める世論と運動を盛り上げることが急務です。
看板も完全に捨て去り
とにかく“消費税増税先にありき”の暴走というほかありません。「密室談合」開始直後に3党がまずやったことは消費税率を政府案通りに段階的に引き上げるスケジュールの確認でした。消費税増税を確実に実現する大前提にたった「修正」協議は出発点から国民不在そのものだったのです。
マスメディアのどの世論調査でも消費税増税反対は50〜60%と日々大きく広がっています。消費税廃止各界連絡会などが取り組んだ消費税増税反対の署名は1500万人分を突破しました。「一体改革」法案を審議する衆院社会保障・税特別委員会の公聴会では「10%に上げられると廃業せざるをえない。疲弊している中小・小規模企業に大打撃だ」(全国商工会連合会・石沢義文会長)、「消費マインド(心理)を冷え込ませ、低所得者等の購買意欲を抑える」(全国商店街振興組合連合会・坪井明治理事長)など幅広い人たちからも異論が続出しました。この声を無視して増税に突き進んだ3党の国民への裏切りは重大です。
民主党が、自公両党に言われるがまま「新年金制度導入」「後期高齢者医療制度の廃止」など09年総選挙で国民に約束した政策を次々と投げ捨てた姿は異常としかいいようがありません。まさに公約違反そのものです。
民主党政権の「一体改革」は医療・介護・年金・子育てのあらゆる分野で社会保障給付の切り下げと負担増を求める大改悪のオンパレードです。そのうえ後期高齢者医療制度廃止などわずかに残された公約も平然と捨て去りました。なにがなんでも増税合意に突っ走る民主党にも、それをけしかけた自公両党にも道理はありません。
3党が社会保障制度をさらに改悪する「基本法案」の共同提出で合意したことは重大です。民主党が自民党案をほぼ丸のみし、公明党の要求にさらに譲歩したものです。自民党案は政府の「一体改革」では“切り捨てが生ぬるい”ともっと露骨な給付抑制と負担増を求めています。同法案で設置する社会保障制度についての「国民会議」が3党による改悪促進のエンジンになる危険は明白です。
発想の根本的な転換で
3党の「修正」協議では、社会保障の財源は消費税増税に頼るべきではないという肝心要の議論がすっぽり抜け落ちています。日本共産党の「消費税増税に頼らず、社会保障充実、財政危機打開」の提言は各地で共感を広げています。消費税増税反対の世論を広げるとともに、消費税増税に頼らない社会保障充実の道について対話と共同を広げていくことが政治の閉塞(へいそく)状況を切り開いていくうえで、いよいよ重要になっています。