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2012年5月29日(火)

論戦ハイライト

新システム 事態いっそう悪化 衆院特別委で宮本議員

宮本 「死亡事故が急増」

厚労相 「規制緩和いい面もある」

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 28日の衆院社会保障・税特別委員会で、子ども子育て新システム3法案について質問した日本共産党の宮本岳志議員。保育の公的責任を放棄する新システムの欠陥が浮き彫りになりました。

 宮本氏は、経営コンサルタント会社が開いたセミナーで「不況下でも急成長するのが保育業界」として、民主党政権になって「追い風が吹いている」とあおっていることを紹介。小泉政権以来、規制緩和による認可保育所の基準改悪や株式会社参入、民間委託の促進、定員を上回る保育所への詰め込みが行われてきたからだと指摘しました。

子ども詰め込み

 一方、保育施設での死亡事故件数は規制緩和がはじまった2001年以降、急増しています。

  宮本 この10年余、子どもの命が奪われ続けてきたことは動かしがたい事実だ。

  小宮山洋子厚労相 規制緩和のいい面もある。

 開き直る小宮山氏に、宮本氏は「最も安全な場所であるはずの保育所で命を落とすなど1件たりともあってはならない」と批判しました。

 死亡事故が起こった大阪市の認可外保育施設は「10分おきに様子を見ていた」、宮城県大崎市の認可外保育所も15分ごとに「睡眠を確認していた」との報告書を提出しています。宮本氏が「こんな機械みたいな見回りが現場でやられていたと思うのか」と述べると、小宮山氏は「忙しい現場で15分ごとに見るのは難しい。必要があれば精査するよう指示する」と答えざるを得ませんでした。

 新システムではどうなるのか。

 宮本氏が、大阪市の事故の親は「みんなが認可保育所に入所できるようにしたい」と訴えていることを紹介し、認可施設を増やすのかと迫ると、小宮山氏は「場所がない」などと述べ、株式会社やNPOの参入拡大でしのぐと強弁しました。

 宮本氏は、裁判で施設の指導監督責任を問われた大阪市が「改善勧告を出している施設は他にもあり、この施設だけ閉鎖を命ずることは営業の自由に反する」などとし、責任はないと開き直っていると指摘。小宮山氏は「大阪市の姿勢は適切でない。指導したい」と述べざるをえませんでした。

 さらに宮本氏は、愛知県碧南(へきなん)市の民間保育所で1歳児がおやつをのどに詰まらせて死亡した事故をとりあげました。

 愛知県や碧南市では、ほふくできるかどうかにかかわらず、2歳未満なら1人当たり1・65平方メートルあればよいとして、国基準なら18人の部屋に26人もの子どもが詰め込まれていました。

 宮本氏は、この面積基準が都市部では「従うべき基準」から「参酌(さんしゃく)基準」へと緩和され、東京都と大阪市では引き下げが行われたことを批判しました。

  宮本 最低基準の引き下げも、「待機児童対策のためならやむなし」と認めるのか。

  厚労相 安全は第一だが、待機児が多い。市町村が適切に運用していくようにしたい。

  宮本 無責任だ。現に子どもが命を落としているではないか。

 宮本氏は、最低基準の引き上げこそやるべきだと強調しました。

歯止め何もなし

 宮本氏は、新システムによって株式会社の参入がさらに容易になると述べ、倒産した場合どうするのかと質問。小宮山氏は撤退する3カ月前に予告する義務や保育している子どもたちの他施設へのあっせんなどを課し、義務を果たさず撤退したら5年間参入できないとすると述べました。

 宮本氏は「閉まったままのシャッターに張り紙、というのが企業倒産の姿。倒産したら参入できないのは当然で、何の歯止めにもなっていない」と批判。「新システムは子どもとその家庭を支援するどころか国の責任を放棄し、事態を深刻化させるだけだ」と述べ、新システム法案の撤回を強く求めました。


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