2012年5月22日(火)
覚悟迫る自民 すり寄る首相
消費税増税 特別委質疑
消費税増税を議論する衆院社会保障と税の一体改革特別委員会は21日、自民党の質疑が行われました。
「自民党の案に賛成し成立を」
石原伸晃幹事長は、消費税増税に対する「覚悟」を質問。野田佳彦首相は「骨格の考え方に差はない。知恵を出し合って結論を出したい」と応じました。
伊吹文明元幹事長は、消費税増税について民主党の公約違反を指摘し、「提案する権限があるのは、総選挙の際に国民に正直に申し上げてきた自民党だけだ」と誇りました。その上で「われわれが(対案を)提案したら、あなた方はいまのものを引っ込めてぜひ賛成してください。そしたら(増税)できます」と述べ、自民党案の丸のみを求めました。
首相が増税法案を通してから民意を問うとしていることについて石原氏は「(民主党が負けても)消費税の増税を撤回することできませんよ」と、国民が反対しても押し付ける考えを表明。伊吹氏も「民主党が総選挙で負けたら永久に(消費税増税は)できなくなる」と述べました。
伊吹氏は、「いい着地点を見つけるようにしていこうじゃないですか」と呼び掛けました。
“自助が基本 見解は同じ”
加藤勝信氏は後期高齢者医療制度について、「『廃止』をやめて現行制度の見直しでいくといえば、大きな障害が一つ消える」と述べ、高齢者に重い負担を強いる制度の存続を求めました。野田首相は「運用の改善は相当してきた」とごまかす一方、廃止については「どう現実的対応をするのか判断していきたい」と述べて存続を示唆しました。
鴨下一郎氏は、旧自公政権が導入した年金削減のしくみを続けた場合、現役世代の収入の約6割あった年金水準(所得代替率)が「50%を切ってくるかもしれない」と、大幅な削減となることを認めながら、「いまの制度を守り抜くのが大臣の役割だ」と主張。民主党の「マニフェストの呪縛は議論しなくていい」と述べ、最低保障年金の撤回を求めました。
石原氏も、最低保障年金撤回が消費税増税法案に協力するための「最低条件だ」と強調。「首相の手でマニフェストを葬るなら、ただちに国民の信を問い直す必要があるが、その覚悟があるか」と法案成立後の衆院解散を迫りました。
野田首相は「自助、共助、公助という見解が(自民党と)違うとは思わない」と表明。“自助が基本”として社会保障の理念を否定する自民党にすり寄る姿勢を示しました。