2012年5月5日(土)
子ども医療費無料化広がる
入院は中学まで 過半数
子育て支援の充実を求める父母の要求と運動、日本共産党の国会、地方議会での論戦で、全国の自治体で子どもの医療費無料化がすすんでいます。国の制度として格差なく実施することが求められています。
厚生労働省が高橋ちづ子衆院議員に提出した資料(2011年4月現在)によれば、現在、全国すべての市町村で実施され、入院では、中学卒業までの無料化が過半数(51・6%)にのぼります。小学卒業(20・8%)、就学前まで(19・7%)と続いています。通院を無料化しているのは中学卒業までが655自治体(37・5%)で、就学前までの622自治体(35・6%)を上回っています。
都道府県レベルでみても、04年には未就学児の通院無料化を実施していたのは8都府県でしたが、11年には28都道府県になっています。04年時点では、小学生以上の無料化を実施していた都道府県はゼロでしたが、7年後には9都県に増えています。
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窓口ゼロに国が制裁
71・3億円
子どもの医療費無料化実施自治体の78%超が窓口での支払いをゼロにしています。
ところが国は、これにペナルティーを科し、市町村の国民健康保険会計への国庫負担を09年度71・3億円削減しています。削減額は06年度の64・9億円から6・4億円も増えています。
国の制度で無料化を
子どもの医療費 高橋議員の話
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小宮山洋子厚労相は、私の質問に、全国の自治体で広がる医療費無料化の取り組みに「敬意を表する」と答えました。そうであるなら、今こそ国が無料化に踏み出すべきです。
窓口無料化に対する「ペナルティー」について、厚労省は、「窓口無料化をしない自治体との公平性が問題」と説明してきました。しかし窓口無料化は78%の自治体に広がって、今や大勢です。公平性という理屈は通じません。「ペナルティー」はやめるべきです。
政府は、「病院にかかりやすくなって医療費が増える」ともいいますが、「重症化を防ぐ」「これまで我慢していたのが気軽に受診できるようになった」などの声があがっています。効果を前向きに評価するべきです。
解説
福島にさえ「ペナルティー」
子どもの医療費無料化では、窓口でいったん患者負担分の支払いを求めているところもありますが、8割近い自治体が窓口負担をゼロにしています。
窓口負担ゼロは、「夜間に子どもが急に熱を出しても、財布の中身を心配せずに病院に駆け込める」という声があがり、子育て世代から歓迎されています。
ところが、国はこの自治体の子育て支援策に「ペナルティー」を科しています。窓口負担が軽減されると、医療給付費が増えるというのが国の言い分で、市町村の国民健康保険会計への国庫負担を削減しているのです。
東日本大震災による福島第1原発事故を受けて、福島県の佐藤雄平知事は18歳以下の子どもの医療費無料化を国に要請しましたが、野田佳彦首相は、「国の医療保険制度の根幹に影響を与える」と実施に背を向けたままです。厚労省は、福島県が医療費無料化で窓口負担をゼロにすれば「ペナルティー」を科す姿勢を変えていません。(鎌塚由美)