2012年4月30日(月)
給付抑え 保育解体
新システムに反対しシンポ
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社会保障分野の学者、研究者がよびかけた「新システムに反対し保育をよくする会」は29日、東京都内で「新システムで保育はどうなる 新システム関連法案を読み込む」を開催しました。
鹿児島大学の伊藤周平教授が基調報告。子ども・子育て新システムは、市町村が実施義務を負っている現在の保育制度を解体し、介護保険や障害者自立支援法のような利用者補助方式・直接契約方式に変えるものにほかならないと指摘しました。また、消費税が目的税化されれば、子育て支援を充実するには消費税を増税するしかなく、充実よりも抑制へ強力な圧力がかかるようになると強調。「子育て支援の拡充ではなく、給付抑制を目的としたシステムであり、戦後の保育制度の大改悪だ」と訴えました。
同会呼びかけ人の4人が報告しました。日弁連貧困対策本部委員の大井琢弁護士は、改悪されようとしている児童福祉法の条文に沿って、システムの問題点を解説。「施設整備計画は『作成することができる』だけで、市町村に義務はない。保育の確保は努力目標にすぎなくなる」とのべました。
帝京大学の村山祐一教授は、「施設整備の補助金が削られれば、待機児解消は望めない」と発言。福島大学の大宮勇雄教授は、「能力や家庭の状況によって教育や保育を与えるシステムだ」と批判。佛教大学の奥野隆一教授は、「給付のあり方が複雑になり、運営の見通しを持った保育ができなくなる」と話しました。