2012年4月10日(火)
野田政権12年度予算
大型公共事業「中止」「凍結」どこに
幹線道路整備4900億円/八ツ場ダム56億円
更新費 今後50年で190兆円
野田政権は2012年度予算で、政権交代時に「中止」「凍結」を公約した大型公共事業を次つぎと復活させました。しかし、日本の公共事業予算は公共施設の維持・更新費だけでパンク寸前です。
今年度予算では、「建設中止」を公約したマニフェストを投げ捨て、八ツ場(やんば)ダムの本体工事に56億円を計上。4899億円を計上した幹線道路ネットワーク整備には、東京外郭環状道路(外環道)の練馬―世田谷間16キロ・1メートルの建設に1億円かかる大型事業が復活しました。
整備新幹線の未着工区間も北海道(新函館―札幌)、北陸(金沢―敦賀)、九州(諫早―長崎)の3ルートが706億円の予算化。ダム、高速道路、新幹線、港湾など大型公共事業の総事業費は41・5兆円にまで膨らんでいます。
自公は督促
日本共産党の穀田恵二議員は3月1日の衆院予算委員会で、「『コンクリートから人へ』の看板も投げ捨て、不要不急の大型公共事業を再開させることは許されない」と批判しました。
一方、自民、公明両党は「(八ツ場ダムの)建設継続は当然。一日も早い完成に向けて促進すべき」(1月27日、中曽根弘文議員)、「一刻も早く、(新名神高速道路の)凍結区間を解除すべきだ」(2月23日、公明党の竹内譲議員)と再開を求めました。
重大なのは、多くの公共インフラが老朽化し更新時期を迎えていることです。
国交省の試算では、今後50年で総額190兆円の更新費が必要です。
2010年の投資総額の約半分が維持管理・更新費に消えており、2037年には、それだけで予算が消化されてしまいます(図)。これには高速道路や上水道などの更新費用は入っておらず、新たに大型公共事業を行えば、その維持管理・更新費も長期にわたってのしかかってきます。
重点どこに
3月1日の衆院予算委員会で穀田氏は、昨年11月の政策仕分けで「新規投資は厳しく抑制」と結論づけていたと指摘し、大型公共事業の復活をやめるよう迫りました。野田佳彦首相は「相当な額が必要になることは間違いない」と認め、前田武志国交相も社会資本の「コンパクト化」「長寿命化」などを進めると弁明しましたが、まともな展望を示せません。
穀田氏は「新設から維持・管理・更新に重点を移し、大型開発事業から命と暮らしを守る地域密着型の公共事業に変えてこそ、持続可能性が出てくる」と強調しました。
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