2012年4月3日(火)
老齢加算勝訴差し戻し
福岡生存権裁判 最高裁が不当判決
70歳以上の生活保護利用者に支給されていた老齢加算の廃止は憲法違反だとして、北九州市の生活保護利用者35人が同市を相手取って廃止の取り消しを求めている福岡生存権裁判で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は2日、原告勝訴の福岡高裁判決を破棄して、審理を同高裁に差し戻す不当判決を言い渡しました。
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判決の報告集会で、原告の毛利吉彦さん(77)が「高裁でまた勝利するまでがんばる」と力強く決意表明。全国からかけつけた約140人の支援者らが大きな拍手で応じました。生存権裁判での最高裁判決は2月の東京訴訟(原告敗訴)に続き2度目。生存権裁判は、今回の差し戻し審を含めて8カ所でたたかわれます。
判決は、老齢加算の廃止にいたる経過について、厚生労働相による裁量権の乱用・逸脱があったとする福岡高裁の判断を覆しました。
その上で、老齢加算廃止による生活保護利用者の生活への影響や、廃止に伴う「激変緩和措置」について統計資料等で合理性があったのか、同高裁で審理するよう指示しています。
判決には、須藤正彦裁判官の意見が付けられました。その中で「激変緩和措置」について「生存権の保障の内容」と認めています。保護基準の改定にあたっては「健康的で文化的な最低限度の生活」が損なわれないよう「慎重な配慮が望まれる」としています。