2012年3月22日(木)
サルコジ氏が金融税導入
社党候補は富裕増税主張
仏大統領選まで1カ月
フランス大統領選挙の第1回投票(4月22日)まで1カ月。19日には10人の候補が出そろいました。24年ぶりのエリゼ宮(大統領府)奪還に向け、支持率でトップに立つ社会党のオランド候補を現職のサルコジ大統領が「右旋回」で猛追する一方、左翼共同候補のメランション氏が支持を広げています。 (山田芳進)
各種世論調査で社会党のオランド候補に支持率で大きく引き離されていた現職のサルコジ氏は、当初の予定を1カ月前倒しし、2月中旬に立候補を表明。
現職に焦り
就任以来進めてきた財政再建策が、庶民に痛みを押し付けるものだとの批判が広がるなかで、金融危機発生後はサルコジ氏も投機的な金融取引に批判的な態度を示し、フランス単独での金融取引税導入(2月法案成立)を急ぎました。
3月に入り、移民の受け入れ数の半減や、欧州域内各国の移動の自由を保障するシェンゲン協定加盟国に対する移民管理強化の提案などの公約を発表し、極右政党・国民戦線(FN)からの支持層の引き剥がしに一定成功。第1回投票での支持率で初めてオランド氏を抜いた世論調査もあります。
昨年10月の党内予備選を勝ち抜いた社会党のオランド元第1書記は、「購買力を引き上げる」と主張して当選したサルコジ氏の「公約違反」を中心に、サルコジ氏の失政を批判し、選挙戦をリード。富裕層に70%の所得税率を課すとの考えを示しています。
原子力大国フランスで、消費電力の原子力への依存度を現在の75%から50%に引き下げることを、欧州エコロジー・緑の党(EELV)と協定を交わすなかで公約化。サルコジ氏が原子力産業における「雇用の確保」を理由に原子力にしがみつく姿勢とは対照的です。
左翼が結集
過去2回の大統領選で共産党の独自候補は、それぞれ得票率3・37%、1・93%と惨敗。「左翼の結集」を旗印に共産党と左翼党(メランション党首)が選挙協力する形で2008年にスタートした「左翼戦線」は、この間の地方選挙や欧州議会選挙でも結果を残してきました。
メランション氏は、現在約1400ユーロの月額最低賃金を1700ユーロに引き上げること、サルコジ政権下で引き上げられた法定退職年齢を60歳に戻すことなどを主張。各種世論調査で10%以上の支持を獲得しています。
仏大統領選挙 第1回投票で投票総数の過半数を得る候補者がいない場合、上位2人による決選投票が2週間後(今回は5月6日)に行われます。大統領の任期は5年で、連続再選は1度だけ可能。
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