2012年3月22日(木)
主張
「再編」見直し
米軍駐留の異常をこそただせ
在日米軍の「再編」計画をめぐる日米両政府の「見直し」協議が本格化しています。
沖縄での新基地建設と海兵隊のグアム移転を「ワンパッケージ」(一括)で進める合意は見直されることになりましたが、具体的に海兵隊をどこへどう移転するのかなどについてはまとまっていません。「再編」見直しは新基地建設が進まず議会からは予算削減を迫られているなど、おもにアメリカ側の事情によるものです。にもかかわらず見過ごせないのは、「一括」だといわれようが「切り離す」といわれようがひたすら新基地建設に突き進む日本政府の態度です。
アメリカいいなり変えず
日米両政府が在日米軍の「再編」と称して、撤去が求められた普天間基地の米海兵隊を「移設」するために名護市辺野古に最新鋭の新基地を建設し、同時に米海兵隊の一部をグアムに移転させ、嘉手納基地より南の一部の基地を返還すると合意したのは2006年でした。日米両政府でとっくの昔に合意していた普天間基地の撤去や沖縄の基地縮小を新基地建設に絡める、日米軍事同盟最優先の「再編」計画でした。
ところが新基地建設が県民の反対で一歩も進まず、アメリカ議会でも軍事費の削減が求められて、アメリカが持ち出してきたのが「再編」の見直しです。「パッケージ」はあきらめたものの普天間基地「移設」と称して新基地建設はあくまで求め、切り離した海兵隊の移転もグアムだけでなくフィリピンやオーストラリアにも広めるなど、日本にできるだけ多く負担させながら世界中に海兵隊を展開させる戦略をつらぬいたものです。沖縄からグアムに移転させるとしていた海兵隊の司令部も、日本に残すと言い出しています。
日本政府は、海兵隊司令部の本土移転などには難色を示していますが、新基地建設や米海兵隊が駐留を続けること自体には反対しません。グアム移転と切り離された以上、新基地に反対すれば普天間基地が恒久化すると逆に県民を脅すありさまです。「再編」計画がアメリカの都合で見直されても、アメリカいいなりの態度は変えないというのは、「独立国」の政府とも思えない卑屈な態度です。
だいたい占領が終わってから60年、沖縄の施政権が日本に返還されてからでも40年たつのに、日本中にアメリカの基地が置かれ、沖縄には日本全体の米軍基地の74%が集中しているなどというのは異常このうえもない姿です。アメリカがいったん合意した「再編」計画を見直すというなら、どうしてこの際、せめて沖縄から基地は減らしてほしいといえないのか。日本政府の対米追随ぶりは、世界に通用するものではありません。
減らすどころか増やして
沖縄での駐留を減らすどころか、米軍は昨年、沖縄海兵隊の定数を1万8千人から2万1千人に増やしており、日本政府もそれを承知で国民には黙っていたことが明らかになりました。日本政府の態度は異常きわまります。
日本政府は沖縄県民が“島ぐるみ”で反対している新基地建設の押し付けをやめるべきです。米軍が県民から奪った普天間基地を即時閉鎖・返還し、「基地のない沖縄」への道に踏み出すべきです。日米安保条約を廃棄し、異常な米軍駐留に終止符を打つべきです。