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2012年3月21日(水)

主張

「駆けつけ警護」

「違憲」の見解くつがえすのか

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 国連の平和維持活動(PKO)に参加した自衛隊が他国の部隊を守るために武器を使用する「駆けつけ警護」について、野田佳彦首相が憲法上容認される「余地はある」と国会で認めました(14日)。

 自衛隊が攻撃もされていないのに他国の要員を守るために武力を行使する「駆けつけ警護」は、憲法違反が明白なため、自公政権時代でさえ手がつけられなかったものです。憲法が許容する「余地」などありません。野田首相が「駆けつけ警護」にふみこむのは、PKO派遣を含む海外派兵を強化するためです。憲法をふみにじる企ては許されません。

他国のための武器使用

 自衛隊が攻撃もされていないのに他国の部隊がいる場所に駆けつけて、武器を使って応戦すれば、憲法が禁止する武力行使になるのは常識です。相手が反撃してくれば、大規模な戦闘に巻き込まれるおそれさえあります。

 停戦合意、受け入れ側の同意、中立性、いずれかが崩れた場合は撤収、武器使用は隊員の生命防護に限定―という「PKO参加5原則」のうち「駆けつけ警護」との関係でとりわけ問題になるのが、武器使用を自衛隊員の「生命防護」に限定した原則です。

 「PKO参加5原則」は、PKO参加の違憲性をごまかすために政府がもちだしたものですが、それによってさえ他国部隊の防護のための武器使用は認められていません。1992年のPKO法審議の中で当時の宮沢喜一首相は、武器の使用などは「憲法の問題がでる」ので「5原則によって安全にしておきたい」とのべています。

 野田政権がいま進めているPKO法改定作業は、「駆けつけ警護」をできなくしている「PKO参加5原則」を見直すのが最大の狙いです。「5原則」があるからPKO参加は違憲でないとくりかえしてきた政府の見解さえほごにして、海外での武力行使を広げることになります。

 「駆けつけ警護」を憲法が許容する「余地がある」とのべた野田首相の発言は、政府の見解や国会の議論さえくつがえす暴論です。自衛隊員の生命を守るためでなく、他国部隊の警護のために行われる武器使用を憲法の枠内といいだせば、次は自衛隊が攻撃されていなくても武器が使用できるなどととめどなく拡大しかねません。

 国連はPKO法制定時に日本政府の求めに応じて、「5原則」を日本がPKO活動に参加する原則として了承するとの回答を日本に伝えています。しかも日本が国連加盟するさい、日本が憲法の平和原則にもとづいて活動することも国際社会は認めています。日本はこの立場に立って、憲法順守の道を堂々と歩むべきです。「PKO参加5原則」の見直しや「駆けつけ警護」の企てはやめるべきです。

危険な道に引き込むな

 野田首相がいま「PKO参加5原則」を見直すのは、自衛隊が海外で米軍を後方支援するだけでなく、武力を行使して米軍を守り、ともにたたかえというアメリカの要求に応えることが背景にあります。アメリカの歓心を買うために憲法も国会答弁も踏みにじるなどというのは断じて許されません。

 政府は違憲の企てを断念すべきです。日米軍事同盟絶対を改め、憲法を生かした外交力で国際貢献する道をこそ進むべきです。


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