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2012年2月23日(木)

主張

アセス「知事意見書」

新基地計画はきっぱり断念を

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 仲井真弘多(なかいまひろかず)沖縄県知事が環境影響評価(アセスメント)の意見書で、日米両政府が米軍普天間基地の「県内移設」のため名護市に建設を狙っている新基地について、「実現することは事実上不可能」とのべるとともに、環境保全上重大な問題があると指摘しました。

 新基地建設に沖縄県民はこぞって反対しています。建設に先立つ公式の手続きであるアセス意見書で、知事が環境が保全できないと指摘したことは重大です。県民の意思も環境保全の手続きも無視して新基地建設を進めることは許されず、政府は計画の押し付けをきっぱりやめるべきです。

県民の願いを代弁

 仲井真知事の意見書は、防衛省・沖縄防衛局が昨年末、未明の暗闇に隠れて県庁に運び込んだアセス評価書に対する知事の公式の意見です。3月には新基地建設のための埋め立てなどについての知事の意見書も提出されます。25項目175件をあげて、「環境の保全上重大な問題がある」と指摘した今回の意見書で新基地建設がいよいよ実行できなくなったのは明らかです。野田佳彦首相が26、27の両日はじめて沖縄県を訪問する政府の態度が厳しく問われます。

 仲井真知事が意見書で「地元の理解を得られない移設案を実現することは事実上不可能」と明言したのは、一貫して新基地建設に反対してきた沖縄県民の意向を受けたものです。沖縄県民は1996年のSACO(日米特別行動委員会)合意以来、普天間基地を「移設」し名護市辺野古(へのこ)()に最新鋭基地を建設する日米両政府の企てに反対してきました。

 アセス評価書に対する知事意見書が、新基地建設は「環境の保全上重大な問題がある」「保全は不可能」と結論付けたのは、騒音などによる生活環境破壊や燃料漏れなど環境汚染が耐え難いものであることを浮き彫りにするものです。

 とりわけ重大なのは、評価書ではじめて最新鋭の米軍輸送機オスプレイの配備や飛行経路の変更を記述したことです。新基地建設による環境への影響を事前に評価する、アセスメントの手続きそのものを空洞化するものです。県民からはアセスをやり直せという声が出されているのは当然であり、このまま新基地建設を強行するのは断じて許されません。

 オスプレイは開発段階から何度も墜落事故をくりかえし、騒音も甚大なため、自治体・県民が配備に反対してきたものです。新基地からオスプレイが伊江島などの訓練基地を往復するたびに広範な地域の住民が爆音で苦しめられ、墜落の危険に脅かされるのは避けられません。

安保条約廃棄と結んで

 新基地建設を認めなければ普天間基地が「固定化」するという脅しがもはや通用しないのは明らかです。当の米国自身が新基地建設と切り離し、海兵隊の移転を始めると発表しています。実現不可能な新基地建設は断念し、普天間基地は即時閉鎖・無条件で返還を実現すべきです。

 沖縄県民は戦後長期にわたって土地を奪われ、基地のために苦しめられてきました。米軍に基地を提供してきた日米安保条約は一方的な通告で破棄できます。安保廃棄と結んで「基地のない沖縄」を実現することこそ、沖縄県民の願いに応えることになります。


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