2012年2月20日(月)
保育の質低下危惧
新システム問う研究集会
東京
「子どもの現実から新システムを問う」をテーマにした研究集会が18、19の両日、東京都内で開かれ、保育関係者など91人が参加しました。主催は保育研究所です。
2日目は、鹿児島大学の伊藤周平教授と帝京大学の村山祐一教授が報告しました。
「人を育てるという発想がまったくない」。政府が国会への上程を狙う、子ども・子育て新システムについてこう指摘した伊藤教授は、「保育園をつくって、保育士を雇っていくと、保育給付が増えるので社会保障の目的税となる消費税を上げるしかない。それでは困るので政府は新システムに移行して、公費を抑制し保育を市場化する仕組みにしようとしている」と話しました。
また、パートタイマーなどの保育認定区分が低くなると予想される人が多くいる保育園では、減収が予想され、施設運営が不安定化することは避けられないだろうと話し、保育士の労働条件の低下とともに保育の質の低下が引き起こされると危惧を表明しました。
村山教授は、「新システム下では、待機児童の解消が財政的にも制度的にも困難になる」と述べ、政府が新システムに使うといっている予算の半分程度で、▽待機児の解消▽世界一高い保育料の約15%の軽減と運営費10%弱の拡充―などが現行制度内で十分実現できるとし、「今必要なのは児童福祉法24条の拡充だ」と訴えました。
参加者からは「保護者に大事なことを知らせずに国会に上程するのを許してはならない」「福祉の原理原則を国に守らせないといけない」など、子ども・子育て新システムへの怒りの声が上がりました。