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2012年2月8日(水)

主張

消費税増税の影響

絶対に許せない“想定外”

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 民主党政権が13兆円の消費税大増税に向かって暴走しています。

 世界経済危機が深刻化し、東日本大震災の復旧・復興は遅々として進まず、暮らしと経済の先行きへの不安も高まっています。それにもかかわらず、野田佳彦首相は「先送りできない」の一点張りで、消費税を10%に増税する法案を強行しようとしています。

 無謀な増税論の背景には、消費税増税が経済に及ぼす破壊的影響を過小評価し、“想定外”に追いやる無責任な姿勢があります。

歴史に刻まれた謝罪

 首相は1997年の3%から5%への消費税増税の影響をことさら小さく見せて、今回の増税も経済に大きな影響を与えないかのように描こうとしています。「(消費税を増税した)97年の景気後退については同年7月のアジア通貨危機、11月の金融システム不安定化という他の要因によるものが大きい」(1月30日、参院本会議の野田首相答弁)―。

 首相の答弁は消費税増税当時の自民党政権の弁明と“うり二つ”です。当時、自民党政権は「先送りは将来のプラスにならない」(橋本龍太郎首相)と国民の反対を押し切って消費税増税など9兆円負担増を強行し、深刻な不況を招きました。不況に陥った後は「(増税の影響は)少しはあるが…金融面の影響が一番大きい」(加藤紘一自民党幹事長)と責任逃れにきゅうきゅうとしました。いま野田首相が言っていることと同じです。

 この議論にはすでに当時の政府報告書が決着をつけています。97年12月の「経済の回顧と課題」は消費税の2%増税で5・2兆円、特別減税廃止で2兆円、医療費負担増で1・6兆円、合計8・6兆円の負担増が消費を抑制したと分析しました。98年7月の「経済白書」では「(税負担増の)影響は予想以上に大きく現れた」と甘い見通しの誤りを認めました。その上で“想定外”の不況となった原因の「第一は、消費税率引上げ…等の影響が長引いたことである」と明記しています。政府も国民の目の前で起きた事実を否定できなくなったということです。

 橋本首相も後に、日本が厳しい不況に陥ったのは「日本経済の実態を十分に把握しないまま、国の財政の健全化を急ぐあまり、財政再建のタイミングを早まったことが原点にあることを、率直に認めます」とのべています。さらに橋本氏は国民に対して、「誠に申し訳ないと思っています」と謝罪しました(2001年4月、自民党総裁選立候補のあいさつ)。

 消費税増税の強行が、それほど大きな失政だったということを歴史に刻み込む痛切な謝罪です。

同じ過ち繰り返すな

 実は、野田首相もかつて野党時代に自公政権の定率減税廃止を批判し、97年の消費税増税など9兆円負担増の「教訓」を語っています。「景気の回復局面にあったときに、言ってみれば風邪から治りかけてきたときに冷たい水を浴びせて肺炎になってしまって、その後の日本経済はえらい目に遭ったという教訓がある」(04年10月、衆院財務金融委員会)

 歴史の事実にも首相自身の言葉にも反し、再び消費税増税の影響を“想定外”に置いて、同じ過ちを繰り返すことは絶対に許されません。痛恨の経験に謙虚に学び、消費税増税を中止すべきです。


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