2012年2月8日(水)
消費税大増税ストップ!社会保障充実、財政危機打開へ
日本共産党が提言
政治の姿勢変えれば財源はつくれる
志位委員長が記者会見
日本共産党の志位和夫委員長は7日、国会内で記者会見し、「消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言」を発表しました。志位氏は、提言を説明したうえで、「財界中心から国民の暮らし中心に政治の姿勢を変えれば、消費税に頼らなくても持続可能な社会保障の充実は可能になるし、同時に財政危機打開の展望も開ける」と力説しました。会見には小池晃政策委員長が同席しました。 (全文)
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志位氏は、野田内閣の消費税増税計画に国民の怒りと批判が広がると同時に、社会保障と財政危機打開の財源をどう確保するか、国民は答えを求めていると指摘。提言は、これに応え、「どうやって財源をつくり出していくのかの抜本的対案が必要だと考え、検討し、練り上げたもの」だとのべました。
二つの政策を同時並行で
志位氏はまず、暮らしも経済も財政も壊す消費税増税に断固反対する立場を表明。その上で今回の提言について、二つの柱の政策―(1)社会保障の段階的充実と税・財政の改革(2)民主的経済改革―を同時並行で実行することで、社会保障充実と財政危機打開を図る立場に立っていると語りました。
第一の柱に関して、志位氏は、「構造改革」路線で社会保障がぼろぼろに壊されたもとで、まず「再生」、つづいて「抜本的拡充」へ2段階で充実を図る必要があると説明。財源については、財界いいなりに富裕層・大企業を優遇する税制から、負担能力に応じた「応能負担」へと、考え方を切り替える必要があるとのべました。
富裕層と大企業への課税
このなかで、「第1段階」の「社会保障再生計画」の中身を説明するとともに、その財源は、(1)大型開発や軍事費などのムダ遣い一掃(2)富裕層と大企業優遇の不公平税制の見直し(3)「富裕税」「為替投機課税」「環境税」などの新たな税の導入―でまかなうとのべました。
とくに富裕層については、現在10%の証券優遇税制について欧米でも30%が当たり前だとし、「甘やかし政策」をただす必要を力説。5億円を超える資産に1%から3%の税率をかける「富裕税」の創設を提案。「為替投機課税」は、仏独などで導入をめざし、ブラジルも取り組んでいると紹介しました。
志位氏は「第1段階」の「再生計画」で必要な財源は年9兆円程度だが、ムダの一掃と富裕層・大企業に応分の負担を求める改革で12兆〜15兆円の財源が生まれるとのべました。
国民全体で力に応じて負担
社会保障充実の「第2段階」は、先進国で当たり前の水準に社会保障を拡充していくものだとのべ、最低保障年金制度の確立など主な施策を紹介。2010年代末に移行することをめどにしていると説明しました。また、財源は、消費税に頼らず、国民全体で、「応能負担」の原則に基づいて累進課税を強化する所得税の抜本改革で支えていくことを提案しました。
この所得税の改革について、1・5%から15%の税率を上乗せして課税し、6兆円の財源を確保すると説明。その場合も、(1)経済改革によって国民の所得が増え、新たな負担を求めても可処分所得は増え続けること(2)社会保障の抜本的拡充と一体的に進めること(3)国民合意で進めること―を大前提とする、とのべました。
大企業の内部留保を還流
第二の柱は、日本経済を長期の低迷と後退から脱出させ、内需主導の健全な成長の軌道に乗せるために、民主的経済改革を行うことです。
志位氏は、「ルールある経済社会」に向けた改革の内容を詳しく説明。260兆円に及ぶ大企業の内部留保を社会に還流することで、国民の所得を増やし、内需主導の健全な経済成長が持続する社会をつくることができると力説しました。
これによって税収が増え、2030年ぐらいまでに基礎的財政収支が黒字に転化するという見通しを示し、対GDP(国内総生産)比での長期債務残高も改善に向かうとの展望を示しました。
志位氏は「消費税大増税ストップ、税・財政・経済の民主的改革によって問題を解決しようとの旗印を掲げて頑張りぬきたい」と決意を表明しました。
提言のポイント
I 社会保障の段階的な充実――財源は「歳出」「歳入」の段階的な改革でまかなう
第1段階 「社会保障再生計画」の実行――ムダ一掃、富裕層・大企業への応分の負担で
・医療費の窓口負担を「子どもは無料、現役世代は2割、高齢者は1割」に
・マクロ経済スライドを廃止し、年金額が減らない制度に
・特別養護老人ホームや保育所の待機者をゼロに
▽財源は、ムダづかいの一掃と、富裕層・大企業優遇の不公平税制を見直すとともに、「富裕税」「為替投機課税」「環境税」などを導入する
第2段階 「先進水準の社会保障拡充」――「応能負担」に立った税制改革で
・最低保障年金制度の創設
・医療費窓口負担の無料化
・介護の利用料無料化
―先進水準の社会保障へ抜本的拡充
・大学を含む学費の引き下げ、無料化に向かう
財源は「応能負担」の原則にもとづき、国民全体で支える。累進課税を強化する所得税の税制改革
II 国民の所得を増やし、経済を内需主導で健全な成長の軌道にのせる民主的経済改革
・人間らしく働ける労働のルール
・中小企業への本格的な振興策
・農林水産業の再生、食料自給率の引き上げ
・原発から撤退、自然エネルギー、低エネルギー社会へ
・“安心の子育て社会”――「少子化」問題の危機を打開する