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2012年2月6日(月)

「普天間・グアム移転分離」

米軍再編合意 破たん示す


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 日米両政府は、米予算教書の発表(13日)を前に、2006年5月の在日米軍再編合意の見直しに着手しました。これは、ブッシュ前政権と小泉自公政権の間で交わされた合意が破綻に直面すると同時に、オバマ米政権の戦略に基づく新たな再編計画への転換が始まったことを意味します。

基地「固定化」は筋違い

新戦略実行

 新基地建設や部隊移転など無数の計画が盛り込まれた06年の再編合意は、「統一的なパッケージ」になっています。沖縄本島南部の6基地を返還するためには、日本国民の税金を使って普天間基地を辺野古に「移設」し、グアムに新基地を造らせなければならない、しかも、海兵隊のグアム移転より先に、辺野古の新基地建設を進展させなければならない―というもの。一つの基地を返すためには、別の基地を造らなければならない、という内容です。その狙いは、在日米軍の「抑止力維持」にあります。

 しかし、この「パッケージ」案は、沖縄県民・オバマ米政権双方にとって深刻な矛盾になってきました。すべての再編計画のなかで最優先して行うべき辺野古の新基地建設計画は、今や「オール沖縄」で拒否されています。一方、米側はブッシュ政権以来、在沖縄海兵隊の移転を柱とするグアム増強をきわめて重視しています。しかし、米政府は議会から、辺野古「移設」が進まない以上、グアム移転経費は認められないと通告され、暗礁に乗り上げてしまいました。

 加えて、米国は、軍事費を削減する中でもアジア太平洋地域を重視するというオバマ政権の新たな国防戦略実施という課題にも直面しています。

 海兵隊をイラク・アフガニスタンから引き揚げる一方で豪州に新たな海兵隊戦闘部隊を配備し、グアムとハワイを強化、現在も行っているフィリピンへの在沖縄海兵隊巡回を継続的に行う―。そのためには、いつまでも沖縄の海兵隊の戦力配分を「普天間移設」に拘束されるのは得策ではない、「柔軟性」(3日の国防総省声明)が重要という判断が働いたものとみられます。

白紙撤回を

 グアムと辺野古を切り離して進める方向になったことで、「普天間固定化」論も言われています。外務省筋は「辺野古移設の旗をおろすことはないが、普天間はしばらく現状のままになる」と述べ、“優先順位”が下がったと見ています。

 しかし、これはまったく筋違いの議論です。もともとは、「世界一危険」と言われる普天間基地の早期閉鎖・撤去が原点でした。これに辺野古への「移設条件」をつけたことが、今日まで問題が解決しなかった理由です。「移設条件」つき返還案が破綻したのなら、無条件返還にかじを切る以外にありません。

 加えて、在日米軍再編には、厚木基地(神奈川県)所属の米空母艦載機を岩国基地(山口県)に移転するなど、本土にも多くの再編計画があります。米戦略上からも現行計画の破綻が明確になった以上、米軍再編計画全体を白紙撤回すべきです。(竹下岳)


図 在日米軍再編の主な内容と新たな検討内容

 〈米軍再編の経過〉

06年5月 日米の外交・軍事閣僚(2プラス2)で米軍再編ロードマップに合意
09年2月 日米両政府がグアム移転協定に署名
10年1月 沖縄県名護市長選で辺野古新基地に反対する稲嶺市政が誕生
  5月 民主党政権は新たな2プラス2合意で辺野古「移設」確認
11年6月 2プラス2合意で米軍再編の完了期限(2014年)を無期限先送り
  12月 米議会でグアム移転経費を全額削除する国防権限法成立
12年1月 オバマ政権が新たな国防戦略でアジア太平洋重視を表明


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