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2012年2月1日(水)

保育新システム成案

子どもは二の次

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 「子ども・子育て新システム」を検討する政府の「作業部会」が31日に決めた成案は、「子どもは社会の希望であり、未来をつくる力である」などと“子どものため”であるかのようにいっています。

 しかし、政府の制度改定の議論は、子どものことはまったく二の次に置かれました。

 それは、成案に至っても、子どもと保護者にとって最も肝心なことが明らかになっていないことに端的に表れています。

 週何日、1日何時間、保育所を利用できるのか、利用者負担はどれぐらいになるのか? これらは、法案成立後に決めるというのです。

 現行制度では、入所が決まれば、どの子にも朝から夕方までの保育が1週間を通して丸ごと保障されます。しかし、「新システム」では、パート就労などで保育の必要性の認定時間が短い場合、週3日しか利用できない、午前中だけ、などとなるおそれがあります。

 そうなれば、現在の幼児教育の一環としての保育が“託児化”し、行事などにも困難が生まれます。“モザイク保育”になると関係者から強い批判が出ています。

 子どもの命と安全に関わる基準についても「制度施行までに更に検討する」とされ、あいまいなままです。

 指定基準については、職員配置、子ども1人あたりの面積は「国が定める」としますが、それ以外は地方任せになります。「地域主権改革」の名の下で、すでに国の最低基準はなくなり、耐火基準、子どもの避難経路確保など、命に直結する基準の引き下げが可能です。子どもにとって一番大切な問題を明らかにしないまま法案を通すことは許されません。

 「新システム」では、市町村は施設の運営費を保障しなくなり、利用者に対して利用料の一部補助を行います。

 こうした「利用者補助」方式について、経済協力開発機構(OECD)は、「誰もが利用できるサービスの供給の支えとならず、職員の現場研修の改善や給与の改善にも必ずしも貢献しない」と指摘します。

 「新システム」では現行のような施設整備費も出なくなるため、園庭やホールを備えた質の確保された施設の建設は困難になります。

 代わりに待機児童の受け皿に位置付けられたのは、賃貸ビルの一室などを利用した「地域型保育」です。成案では、「地域型保育」の面積基準は、国の基準以下でよいとされています。「すべての子どもが尊重され、その育ちが等しく確実に保障(される)」(成案前文)というのは、まったくのいつわりです。

 親が望むのは、安心して預けられる保育です。現行制度のもとで認可保育所を拡充することこそ求められます。 (鎌塚由美)


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