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2012年1月16日(月)

主張

南スーダン派兵

憲法をなんと思っているのか

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 陸上自衛隊がアフリカ南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に参加するため、同国の首都ジュバに向けて出発しています。

 野田佳彦首相は7日の派遣部隊隊旗授与式で、派兵は国際社会の「期待」に応えるためであって、自衛隊として「誇り」にとあいさつしました。派兵の強行は、「平和維持活動における日米協力を強化する」との日米合意(昨年6月)にしばられ、オバマ政権いいなりの野田政権の危険性を示しています。自衛隊の海外派兵はどんな形であれ憲法違反です。憲法をふみにじって派兵を強行するのを絶対に認めるわけにはいきません。

ジュバも安全ではない

 自衛隊の派遣は今年10月31日までとされています。最終的にジュバに最大330人の施設部隊と最大40人の支援部隊を送り込む計画で、これから順次派遣されます。機関銃5丁、小銃297丁、拳銃84丁などの武器も携行します。

 昨年7月に独立したばかりの南スーダンは治安情勢が著しく悪化してきています。隣接するスーダン軍は南スーダン北部地域を爆撃し多くの犠牲者をだしています。南スーダン内でも部族間紛争が拡大し深刻さを増しています。首都ジュバは「問題ない」という政府の説明にはまったく根拠がありません。実際、東部地域に根拠地を置く「南スーダン人民解放運動・軍」の指導者が「1カ月以内に首都ジュバへの攻撃を計画している」(スーダン・トリビューン紙3日付)と表明さえしています。

 こんな危険なところに自衛隊を送り込むのはPKO法に規定されているPKO参加5原則にも反します。5原則とは停戦合意、受け入れの同意、中立性、以上のいずれかが崩れた場合は撤収、武器使用は隊員の身体・生命防護に限る、というものです。PKO参加は憲法違反との批判をかわすために政府が持ち出したものですが、南スーダン派兵はそれにすら違反しています。南スーダン政府は受け入れているものの、南スーダン内部の紛争当事者の同意はありません。南スーダン派兵がPKO参加5原則に反するのは明白です。政府が自ら決めた原則すらほごにするのは許されません。

 見過ごせないのは南スーダンPKOの任務です。国連安保理決議は、侵略行為などへの制裁を規定する国連憲章第7章を根拠にして、武力の使用まで認めています。一般市民の保護や市民保護にあたる政府軍への援助、人道支援のために「必要なあらゆる手段を用いることを許可」したのは重大です。PKOが軍事力重視を強めているのは明らかです。にもかかわらず“派兵先にありき”で派兵を強行したのは、憲法の平和原則をふみにじる“暴走”というほかありません。

非軍事・平和的役割を

 独立した南スーダンの国づくりに日本が憲法を守り非軍事的・平和的な役割を果たすのは国際社会の一員として当然です。憲法の原則を明確にしたうえで国連加盟を申請し認められた日本は、軍事的活動を基本とするPKOとは一線を画し、非軍事的な活動での協力に限定するのが当たり前です。「平和維持」という名前だけでPKOに参加するのは許されません。

 政府は自衛隊の派兵は憲法で禁止されていることを国連にきっぱり伝え、南スーダンPKO参加の政府決定を撤回すべきです。


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