2012年1月16日(月)
大手紙が増税支援のなか 消費増税に厳しい目
反対軒並み55%超 各紙世論調査
野田改造内閣の発足を受け大手紙が一斉に世論調査を実施し、15日に結果を発表しました。設問に「社会保障の財源」と明記しても消費税増税に「反対」が軒並み55%を超え、「賛成」は3割台に低落する調査結果となりました。大手紙がそろって増税支援の社説を掲げるなかでも、国民は消費税増税に厳しい目を向けていることが明らかになりました。野田内閣の支持率も続落傾向で、増税に向け「最強の布陣」(首相)とした改造も支持を得ていません。
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税率を2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げるという政府の消費税増税の素案について、「朝日」は「賛成」34%に対し「反対」57%。「読売」でも「賛成」は39%で「反対」55%。「日経」も「賛成」36%、「反対」56%と、いずれも反対が賛成を大きく上回っています。
これまでは設問に「社会保障の財源にあてる」と注釈がつけば、賛成が増える傾向にありましたが、「朝日」「読売」ともそれを明記したうえでの回答です。「これまで消費増税に比較的理解のあった男性でも賛成は40%にとどまり、反対は52%に上った」(「朝日」)と世論の変化を強調しました。
「日経」では、昨年11月調査で消費税増税への賛否が逆転して以来、その差はどんどん開いています。
反対の理由についても、増税よりも無駄削減、景気回復だとする回答が多く、国民は健全な意識を示しました。「読売」では「無駄な予算の削減が不十分だから」46%がトップ、次いで「家計の負担が増えるから」29%、「民主党の政権公約に明記していないから」12%。なかでも、民主党自身が無駄遣いの象徴としていた八ツ場ダム建設の継続については「適切だと思わない」が55%にのぼりました。「朝日」では、消費税増税の際、景気を「考慮する必要がある」が「大いに」と「ある程度」あわせて80%を占めました。
改造後の調査で上昇傾向となるはずの内閣支持率も横ばいか下落傾向で、3割を切るものも。不支持率も横ばいか上昇を示し、「支持率下落に歯止めがかからなかった」(「読売」)と指摘されています。
大手メディア自身が増税不可避論を振りまき、野田内閣の暴走を後押ししてきたにもかかわらず、反対世論が高まっていることが鮮明になった格好です。
世論は許さない
不公平な税制をただす会事務局長・税理士の富山泰一さんの話 野田首相は、自公両党がどこかで妥協して増税の話し合いに乗るのを期待していると思いますが、世論はそれを許さない状況になっています。昨秋以降、消費税増税反対と賛成との差が急激に開いています。これまでにない状況です。
大手メディアがどう書こうと、国民は社会保障がよくならないことを分かっている表れです。年金は給付額削減と支給先延ばし、医療や介護も負担増と給付減の方向で、なぜ消費税だけ増税なのか、という不信です。
庶民の暮らしは厳しく収入も不安定なのに、復興増税といいつつ大企業の法人税は減税されることへの反発も表れていると思います。この世論調査結果は、消費税増税反対の運動にとって、大きな励ましになります。