2011年12月25日(日)
2012年度予算案について
日本共産党書記局長 市田忠義
日本共産党の市田忠義書記局長は24日、2012年度予算案について、次の談話を発表しました。
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1、野田内閣が閣議決定した来年度予算案は、年金引き下げをはじめ社会保障を切り捨て、国民の暮らしに背を向ける一方で、大企業と富裕層減税を温存するとともに、軍事費を増額し、大型開発を復活させるなど、自民党政権とまったく変わらないものとなった。民主党政権が、財界、アメリカいいなりという自民党の悪政の完全な後継者となったことを示す予算案である。
2、来年度予算案は、野田政権がねらう「消費税増税と社会保障削減の一体改悪」に向けて、その第一歩を踏み出すものになっている。
社会保障では、老齢年金、障害年金、児童扶養手当などを削減し、介護保険料も大幅値上げとなる。子ども手当削減と年少扶養控除廃止で、自公政権時代の児童手当と比べてもマイナスとなる子どもが数百万人にもなるなど、子育て予算も削られた。しかも、これは第一歩にすぎず、年金支給開始年齢の68〜70歳への先延ばし、医療費の窓口負担の引き上げなどの連続改悪に突き進む計画が立てられている。
その一方で、基礎年金国庫負担の財源として「交付国債」を発行し、将来の消費税増税分を充てるとしている。国会での審議はおろか、与党内でさえ異論が噴出している消費税増税を、すでに決まったかのようにして「先食い」することは許されない。
3、予算案では、震災復興のための特別会計が創設されるが、被災者生活再建支援法による住宅再建は据え置かれたままなど、生活と生業の再建への支援対策は、まったく不十分である。放射能汚染を除染する本格的な事業を進めるものにもなっていない。しかも、その財源を、もっぱら庶民増税に求め、大企業には負担どころか実質減税を行っている。
4、予算の浪費も目立っている。東京外郭環状道路や八ツ場ダム、胆沢ダムなどの大型公共事業が推進される。原発に固執し、原発推進関連予算を4200億円も計上した。米軍への思いやり予算をはじめとした巨額の軍事費は「聖域」とされている。1隻1200億円の「ヘリ空母」を増備し、まだ完成もしていないアメリカのF35を次期戦闘機として決定し、今後、総額1・6兆円も投入しようとしている。政党助成金も「聖域」とされている。
5、国債発行額は、民主党政権になって3年連続して44兆円となり、「隠れ借金」である「交付国債」を合わせれば47兆円という、当初予算としては史上最大の規模に達した。この行きづまりを消費税増税と社会保障の連続削減、環太平洋連携協定(TPP)参加などによって突破しようという民主党政権のやり方は、国民の暮らしを破壊し、内需をさらに冷え込ませ、経済も、財政も悪化させるものである。いまこそ、財界・アメリカ言いなり政治から、震災復興と放射能の危険から命と健康をまもることをはじめ、暮らしと福祉、平和をまもる政治に転換しなければならない。消費税増税にきっぱり反対し、世界の流れとなっている富裕層への課税をはじめ、歳出・歳入の徹底的な改革によって財源を確保すべきである。日本共産党は、そのために国民と力をあわせてたたかうものである。