2011年12月17日(土)
主張
大阪2条例案
「独裁」許さぬ新たなたたかい
大阪での橋下徹前府知事(次期市長)と「大阪維新の会」によるファッショ的な独裁政治を許さないたたかいは、先の大阪市長選、府知事選で、広範な保守の方々を含む共同が大きく発展しました。市長選では日本共産党が自主的に支援し、「反独裁」を掲げた平松邦夫市長が、橋下氏を相手に、得票率41%、52万人の支持を得ました。
橋下・「維新の会」による独裁政治の内容を示しているのが、府議会などに提出されている「教育基本条例案」と「職員基本条例案」です。2条例案に反対するたたかいは、大阪ダブル選挙後、新しい広がりを見せています。
堺市議会では条例案否決
そうした広がりを証明したのは、「維新の会」が教育・職員2条例案を提出していた堺市議会で否決したことです。市民の共同が広がるなか堺市議会は8、9日の文教・総務財政の各委員会と15日の本会議で「維新の会」以外の会派が反対し2条例案を否決しました。
「『教育基本条例案』を白紙撤回せよ」と著名4氏が呼びかけた「堺からのアピール」には短期間で600人を超える賛同が寄せられ、5日には、つどいとデモも行われました。堺市内の五つの教職員組合や二つの職員労働組合も、組合の立場を超えて、共同アピールを発表しました。世論と運動、共同の力が発揮されました。
「維新の会」が大阪府議会と、大阪、堺の市議会に提出し、制定を目指してきた2条例案は、教育に介入し、教育関係者と職員を知事や市長の思うままに支配しようというものです。
教育基本条例案は「その内容のみならず、枠組みそのものが政治の介入を厳格に戒めようとする教育基本法や諸法規の精神に反する」として白紙撤回すべきだとの見解を発表した大阪府教育委員の各氏は、府知事選後、7日の府議会教育常任委員会に出席し、条例案で大阪の教育がどうなるか、意見表明し、改めて批判しました。
文部科学省は5日、教育基本条例案についての府教育委員会の問い合わせに対して、条例案の根幹部分である「知事が府立高校の教育目標を設定する」ことが、教育行政のあり方を定めた地方教育行政法に抵触すると回答しました。
労働・法曹・教育関係8団体が主催した12・7府民集会には、1400人を超える府民が参加し、熱気と決意みなぎる集会として成功しました。集会には、平松大阪市長、竹内脩枚方市長(前府教育長)らが賛同の意を寄せ、平松氏はメッセージのなかで教育基本条例案について「教育の政治的中立を侵害するばかりでなく、様々な矛盾を引き起こすのではないかという懸念を抱いております」と指摘しました。
民主主義のため共同広げ
橋下・「維新の会」は2月議会にむけて、両条例案を否決した大阪市議会に市長提案として再び提出し、「維新の会」が過半数を占める府議会には知事提案して、年度内に成立させようとしています。橋下新市長は「統治機構を変えた証」とする大阪府市統合本部を年内に発足させ両条例案の成立を最重点の一つとして推進する構えです。
事態は緊迫しており、独裁政治の具体化を許さないたたかいはこれからです。大阪と日本の民主主義のために、「反独裁」の一点での共同をひろげることが重要です。