2011年11月23日(水)
米軍属犯罪「処分なし」
MEJA法(米・軍事域外管轄法)背景に
参院法務委で井上議員指摘
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2006年9月から10年にかけて、在日米軍の軍属が「公務中」に起こした犯罪62件のうち、4割以上が日米双方から何の処分も受けていない問題で、日本共産党の井上哲士議員は22日の参院法務委員会で、2000年に米国で制定された「軍事域外管轄法」=MEJA法が背景にあると指摘しました。
同法は、軍属が米領内で懲役1年以上に相当する罪を海外で犯した場合、米国で訴追されるというものです。
日米地位協定第17条では、「公務中」の場合、米兵・軍属ともに米側に第1次裁判権があります。しかし、従来は、平時に軍属を軍法会議にかけるのは憲法違反という1960年の米最高裁判決に基づき、「公務証明書」を発行しないことで裁判権を事実上、放棄してきました。
米で訴追されず
ところが、06年9月以降は「公務証明書」を発行し、第1次裁判権を主張しています。井上氏は、「MEJA法が制定され、05年に米国防総省が施行規則をつくったのを受け、米側の対応が変わったのではないか」と指摘しました。
法務省の稲田伸夫刑事局長は、「手元に資料がある04年から06年8月までは、米軍属の犯罪で、『公務中』であるとして不起訴になった事例はない」と述べ、対応が変わった可能性を認めました。
では、06年9月以降についてはどうか。平岡秀夫法相は「MEJA法が適用された例は承知していない」と述べ、米側が裁判権を主張しながら、実際は米国内で訴追していないことを認めました。
運用自体が困難
井上氏は、「MEJA法には重大な弱点がある」と指摘。米陸軍幹部の論文で、「外国で起きた事件を米国内で裁こうとしても外国から証人を呼ぶことはきわめて困難」などとして、同法の運用自体が困難と見ていることを挙げました。
さらに、「MEJA法が想定しているのは、司法制度が機能していない国で活動する民間軍事会社の社員(身分上は米軍属)が殺人や人権侵害を侵した場合。日本のように司法制度が機能している国の軍属犯罪に適用するのは無理がある」と指摘しました。
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