2011年11月11日(金)
公教育の無償化求め 3万人デモ
チリ
【メキシコ市=菅原啓】公教育の抜本的拡充を求める学生の運動が続く南米チリの国会で9日、来年度の教育予算案の審議が始まりました。国会のあるバルパライソには、政府予算案では不十分だと抗議する学生ら約3万人が集まり、国会周辺をデモ行進しました。
チリでは、ピノチェト軍政時代(1973〜90年)に、教育分野への民間資本参入が奨励され、教育予算が大幅に削減されました。この仕組みは民政復帰後の現在まで継続しており、学生の多くが高学費に苦しめられています。
チリ大学生連合(CONFECH)など学生団体は、利益追求を教育分野に持ち込む新自由主義的な教育政策に抗議し、公教育の充実と無償化を掲げて5月以来40回以上にわたる大規模デモを組織してきました。
ピニェラ政権は、学生らの要求に対して、奨学金枠の拡大や学費ローンの軽減などを約束。来年度予算案では、こうした施策を盛り込んで教育向け支出を前年度比7・2%増としていますが、学生側は不十分だとしています。
CONFECHのバジェホ議長、チリ大学のペレス学長らはこの日、国会内で上下両院議長や各党代表と個別に会談し、予算案に学生の要求を反映させるよう要請しました。
7日に発表された世論調査によると、学生の要求に賛同する人は67%に達しています。