2011年11月11日(金)
第3次補正予算案
除染費用わずか 二重ローン対策盛らず
被災者の声 反映不十分
震災発生から約8カ月になる10日、第3次補正予算が衆院本会議で採決され、参院に送られました。総額12兆1025億円にのぼる中身は被災者の要求を一定反映したものも含まれていますが、極めて不十分で問題点を抱えています。
被災自治体の強い要求で震災復興特別交付税が1兆6635億円盛り込まれ、自治体の負担軽減につながります。歯科診療所などの災害復旧の対象拡大、三陸鉄道など被災地鉄道の復旧の事業者負担ゼロなど、世論や運動に押されて盛り込まれた事業もみられます。
しかし、被災企業の二重ローン対策では、債権を幅広く買い取るために必要な追加出資が盛り込まれていないなど、年末になって待ったなしとなっている中小企業者らの願いに沿うものになっていません。
福島原発事故による放射能の除染を行うための費用はわずか2400億円のみです。また、賠償責任を負う東電の救済のための交付国債は、発行限度額が2兆円から5兆円に拡大されており、被害を受けた国民に負担を押し付けるものです。産業空洞化対策を口実にした「立地補助金」は5000億円に増額するなど、大企業支援策を盛り込んでいます。
一方、復興財源は、所得税・住民税の増税など15年間で8・8兆円もの負担を庶民に強いるもので、個人消費を冷え込ませ景気の悪化を招くものです。一方で、法人税は恒久的に5%減税され、減税額は25年間で20兆円におよびます。
日本共産党は、一般の復興財源は、法人税減税や証券優遇税制の中止、米軍「思いやり予算」の廃止などで確保し、原発災害対策の財源は、電力会社が19兆円も積み立てる計画の“原発埋蔵金”の活用などを求めています。 (中川亮)