2011年10月30日(日)「しんぶん赤旗」

橋下・「維新の会」によるファッショ的な独裁政治に「ノー」の審判を下すため、府民の広大な共同を

10月29日 日本共産党大阪府委員会


(1)

 いま大阪は、橋下・「大阪維新の会」によるファッショ的独裁政治を許すのかどうかの重大な歴史的局面を迎えています。

 橋下徹知事は22日未明に辞職し、大阪市長選挙への出馬を表明しました。橋下氏は23日の街頭演説で、維新の会の知事候補とともに、「ものすごい権力闘争」「ものすごい大戦争」で「明治以来の体制を捨て去って、新しい大阪、新しい日本の仕組みをつくる」とぶちあげました。

 これは、橋下氏と「維新の会」が、「大阪都」構想と「教育基本条例案」「府職員基本条例案」をかかげ、大阪府・市の権限と財源を「1人の指揮官」に集中させる。そして行政も、教育も、橋下氏と「維新の会」が独裁的に牛耳って、府民犠牲と大企業優先の政治をすすめる。さらに、これを足場に「全国進出」をもはかろうという権力的な野望をむきだしにした「大阪府・大阪市のっとり宣言」ともいうべきものです。橋下氏と「維新の会」は、政治と社会の閉塞(へいそく)感を逆手にとって、「システムを変え」「強いリーダーをつくってこそ政治を変えることができる」という幻想をあおり、「政敵」を排除して、そのファッショ・独裁政治を確立しようとしているのです。

 日本共産党大阪府委員会は、憲法と地方自治、自由と民主主義を守りぬく立場に立って、大阪に暮らしと民主主義破壊の独裁政治の拠点をつくろうとするこのたくらみを断固としてくいとめるために、府民の広大な共同をよびかけるものです。

(2)

 橋下氏と「維新の会」によるファッショ性は、これまでにない特異さ、重大さをもつものです。

 橋下氏は、「大阪維新の会」をたちあげ、WTC府庁移転条例案が2回否決されたにもかかわらず、ビル買い取りを強行したことをはじめ、地方議会を形骸化に導く「大阪都」構想を掲げ、「地方自治破壊の突撃部隊」というべき数々の攻撃を加えてきました。そして、「維新の会」が府議会で過半数を得るや、「君が代」強制条例、大幅な定数削減を数の力で強行しました。

 そのファッショ性をだれの目にも明らかにしたのが、「教育基本条例案」と「職員基本条例案」です。とりわけ「教育基本条例案」は、政治が教育に全面的に介入して、教育を首長と議会多数派の独裁下におく制度的仕組みをつくりあげようという危険きわまりないものです。それは、教育への国家的介入、行政権力による介入をしりぞけ、教育の自由を保障した日本国憲法の根本精神をじゅうりんする、憲法違反の暴挙にほかなりません。大阪のみならず日本の教育への最大の反動的挑戦というべきです。この「教育基本条例案」と、府の職員を「府民のための奉仕者」から「知事と維新の会のための奉仕者」に変える「職員基本条例案」は、最も民主的であるべき教育と自治体行政の機構から自由と民主主義を奪い、監視と恐怖の機構に変質させるものです。

 橋下氏の特異さは、みずから「独裁」を公言してはばからないことにも示されています。橋下氏は6月29日、「日本の政治のなかで一番重要なのは独裁ですよ。独裁といわれるくらいの力、これが日本の政治に一番求められる」とのべました。言動をくるくる変えながら、派手な言葉とパフォーマンスでマスコミの注目をひきつけるやり方や、「WTCへの府庁移転」や「大阪都」構想を政略的にうちだし、それに反対する勢力を「政敵」として徹底批判する手口もその一つです。

 しかも、それを合理化するため「選挙で選ばれたということで、僕の感覚というのは、基本的には府民感覚だ」とうそぶき、「民意」をかざしてファッショ・独裁の政治を推進しています。橋下氏は、選挙で有権者に問うのは「方向性だけ」「詳細な制度設計など行政組織をフル稼働させないとできない」といいますが、そもそもWTC府庁移転にしても、「君が代」強制条例にしても、4年前の選挙では一言もありませんでした。選挙で勝てば、自らの考えをすべて「民意」だとして、公約でもなく選挙で触れてもいないことでも何でもゴリ押しできる――まさにその発想そのものがファッショ・独裁以外の何ものでもありません。

 橋下氏は、ダブル選挙というやり方も「僕の政治手法の集大成」だとします。この野望は断じて許すわけにはいきません。

(3)

 いまこうした橋下氏と「維新の会」のファッショ・独裁の本性が見抜かれはじめ、府民のなかから大きな危惧と怒りの声がわきおこりつつあります。

 なかでも、「教育基本条例案」にたいして、橋下氏が招いた委員を含め府教育委員全員が「(この条例案では)教育は政治の一部になりかねない」「日本の統治原則の変更を迫る」ものだとして「条例案が成立するなら全員辞職する」と記者会見をおこない、府立高校PTA協議会が「教育基本条例案」の撤廃を求める「嘆願書」をつきつけるなど、教育界をあげての反撃が展開されています。大阪弁護士会、日本ペンクラブなど各界からの痛烈な批判が橋下氏と「維新の会」につきつけられています。

 こうしたなかで、これまでの政治的立場の違いをこえて、「大阪は独裁・橋下知事に屈しない」などの声が広がり、知事選挙・大阪市長選挙の様相を変えつつあります。

 橋下氏と「維新の会」の勝利を許すなら、さらなる暴挙が加えられ、大阪の地方自治・民主主義は窒息させられかねません。大阪府・市が反動派の拠点になるならば、日本の政治にも重大な影響を与えます。

 そもそも「大阪都」構想は、府民投票を伴う法律の改正手続きが必要であり、国政と直結しています。実際橋下氏は、国政選挙で賛同する国会議員づくりに乗り出すとしています。閉塞感が広がっているだけに、大阪に独裁政治が誕生するなら、それを拠点として、いまの政治状況を反動的に打開しようとする衝動が強まる危険もあります。まさに、大阪におけるこのたたかいは、日本の現在と行く末もかかった全国的にきわめて重大な意味をもっています。それが大阪市長選挙と大阪府知事選挙という地方選挙としてたたかわれる以上、その成否は、大阪府民・大阪市民の判断と選択にかかっています。

 大阪府民・大阪市民のみなさん。「庶民の大阪」を日本の民主主義を脅かす反動独裁政治の拠点にするわけにはいきません。橋下氏と「維新の会」によるファッショ的な独裁政治を許さない、大阪府民の広大な共同を、党派の垣根をこえてつくりあげようではありませんか。その力で、今回のダブル選挙において、「橋下独裁政治ノー」の審判をくだそうではありませんか。

 日本共産党は、そうして府民的共同の一翼をになって、大阪と日本の民主主義を守るために全力をつくす決意を表明するものです。





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