2011年9月27日(火)「しんぶん赤旗」

主張

秘書有罪

この判決は、限りなく重い


 小沢一郎元民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、現職の衆院議員を含む3人の元秘書に有罪判決。この判決は、3人の元秘書はもちろん、小沢氏自身と民主党にとっても、限りなく重いものとなったことは明らかです。

 小沢氏自身の裁判も間もなく始まります。裁判での追及とともに国会での真相解明と政治的道義的責任の追及が免れません。

国民の監視を逃れるため

 事件は「陸山会」の東京・世田谷区での土地購入をめぐり、4億円の資金の流れが政治資金収支報告書で正しく届けられていなかったというのがきっかけです。政党や国会議員、地方議員などに届け出が義務付けられている政治資金収支報告書は、政治資金の流れを透明にし、その活動について主権者である国民の「不断の監視と批判」の下に置くことが目的です。

 ところが「陸山会」の土地購入は、4億円もの巨額の取引にもかかわらず、小沢氏自身が貸し付けたといわれる資金の出所は不明で、実際の購入と届け出の時期が違うなど、とてもまともに国民の前に真実を明らかにするものではありませんでした。小沢氏自身や逮捕された3人の元秘書は「事務処理上」の問題などといいはり、事件そのものを「形式犯」とわい小化しようとしました。国民の監視を受ける態度とはいえません。

 とくに小沢氏は、一貫して「秘書がやった」と責任を回避し、資金の出所についての説明も「政治献金」「家族の預金」などと二転三転させ、自らは一度も国会で説明しようとしないなど不誠実きわまりない態度を取っています。市民の告発による2度にわたる検察審査会の決定で小沢氏が強制起訴され、国会でも証人としての喚問が求められてきたのは当然です。

 今回の判決は小沢氏に先立ち起訴された3人の元秘書に対するものですが、政治資金規正法でウソを届け出たこと自体を、「規正法の趣旨にもとる悪質な犯行」ときびしく弾劾しています。裁判中には検察の調書を裁判所が「威圧的な取り調べ」などを理由に採用しないといったことがありましたが、調書以外の法廷証言や客観証拠から3人の有罪を判断しました。

 しかも判決が、虚偽の政治資金収支報告書を届け出た動機として、「水谷建設」などゼネコンからの献金を含む資金の出所を「追及・せん索され」、小沢事務所とゼネコンとの長年にわたる「癒着が明るみにでることを避けようとした」と明快に指摘したことは重大です。事件は単なる「形式犯」などでは決してありません。判決をきっかけに小沢氏の責任はもちろん、公共事業をめぐる小沢氏とゼネコンとの醜い癒着に徹底してメスを入れることが不可欠です。

企業・団体献金禁止こそ

 東北地方で発注される公共事業を中心に、小沢事務所が事実上受注先を決める「天の声」を出し、その見返りとして政治献金を手に入れてきたことはこれまでもたびたび指摘されています。判決は「西松建設」からの「ダミー」を使った違法献金も指弾しています。

 企業や業界団体からの献金が政治腐敗の元凶となっているのは、いよいよ明らかです。事件そのものの徹底究明とともに、企業・団体献金の全面禁止に踏み出すかどうかが問われます。





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