2011年9月25日(日)「しんぶん赤旗」
小沢氏4億円不記載 どう判断
「陸山会」事件 元秘書3人 あす判決
民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、元秘書3人が政治資金規正法違反に問われた「陸山会事件」の判決が26日、東京地裁(登石郁朗裁判長)で言い渡されます。公判を通じて被告らの主張のほころびが広がりました。 (矢野昌弘)
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争点の一つは、小沢氏から借り入れた4億円の記載についてです。「陸山会」の政治資金収支報告書2004年分には、「借入金」の項目に、「借入先 小澤一郎 4億円 10月29日」と記載されていました。
未記載どちら
陸山会は、実際には、小沢氏から現金で借りた4億円と、りそな銀行から小沢被告経由で借りた4億円の計8億円を借りていました。
これでは、どちらかの4億円を収支報告書に記載していないことになります。
検察側は「土地購入の原資を仮装するために銀行から受けた融資4億円を記載した」と主張。小沢氏が貸した現金4億円は「公にできない資金」であるとし、石川知裕被告(38)による複雑な資金移動は、「隠ぺいするための偽装工作」と指摘していました。
これに対し、石川被告は、現金4億円を記載したといい、「(計8億円を借りたとするのは)釈然としなかった」として銀行からの4億円を記載しなかったと主張。意図的な虚偽記載などではなく、あくまで「形式的なミス」としています。
しかし、石川被告から会計事務を引き継いだ元秘書の池田光智被告(34)の認識は、「銀行からの借り入れと認識した」というもの。石川被告との食い違いを見せました。
また石川被告は、土地の購入代金を04年10月に払っていながら、同年の収支報告書に記載せず、05年1月に購入したと05年分報告書に記載をずらしました。公判で石川被告は、裁判官からその理由を何度も聞かれましたが、明確に答えることはできませんでした。
当時の陸山会の会計責任者だった大久保隆規被告(50)との共謀も争点です。大久保被告は「名ばかりで、収支報告書の内容にはまったく関わっていなかった」と、虚偽記載などの関与を否定しています。
動機が焦点に
この他にも大久保被告は、準大手ゼネコン「西松建設」のダミー(隠れみの)政治団体からの違法献金についても罪に問われています。同社の国沢幹雄元社長への有罪判決(09年7月)は、違法献金の目的について、「公共工事の受注業者の決定に強い影響力を持っていた小沢氏の秘書らとの関係構築のため」と認定しました。
小沢被告と公共事業―。判決が、中堅ゼネコン「水谷建設」からのヤミ献金1億円を認定するのか、についても注目が集まっています。
公判では、水谷建設関係者5人が1億円の授受について、生なましく証言。この裏献金が、一連の虚偽記載の動機につながったとする検察側の主張が認められるのか、焦点となっています。
この事件をめぐっては、10月6日に検察審査会の議決を受けて強制起訴された小沢氏本人の初公判も行われます。この行方を見るうえでも今回の判決には注目が集まります。
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